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見たことありますか?幸せの黄色い新幹線ドクターイエロー

ドクターイエローその名も“新幹線電気軌道総合試験車”!

 このうち923形は、営業運転に使用されている700系新幹線の車体をベースに製作され、車体塗色は愛称名のとおり黄色をベースに青帯を配したものとなり、いっぽうのE926形は、やはり営業運転に使用されているE3系新幹線の車体をベースにして製作され、塗色はアイボリーをベースに赤い帯があしらわれたものとされています。

 このE926形は、愛称名が「East i(イースト・アイ)」となって、「ドクターイエロー」とは、まったく異なった雰囲気を備えていますが、基本的な役割は同じです。

 いずれの車両にも、車内には最新の測定機器が搭載されており、線路や架線のごくわずかな位置の狂いを、レーザー光線を用いた測定機器などによって発見し、事故の発生を未然に防いでいます。

ハイテク化されすっきりとした車内では、各種データの処理が行われ、新幹線情報管理システムに入力される。

 

 

 

923形3号車には観測ドームがあり、レーザー光を使って、架線の摩耗状態などの観測が行われる。

 あくまでも、事業用の車両であることから運転ダイヤは公表されないまま、「ドクターイエロー」は、およそ10日に一度の割合で全線を走行しています。 

 目にする機会が極端に少ないことから、「これを見ることがあれば幸せになれる、幸せの黄色い新幹線」ともいわれるようになった車両。

 まだ、その存在があまり知られていなかった頃、「黄色い新幹線」が走っていることを目撃したある奥様が、その証拠をご主人に見せるために、改めてカメラをもってひたすら線路の近くに立ち続けていたという噂話がありますが、果たして、お目当ての車両は走ってきたのでしょうか。

 今日であれば、その存在はすっかり知れわりましたから、本当に黄色い新幹線電車があるのかどうか、ご夫婦で口論になるようなことはないでしょう。

新幹線はすごい』より

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斉木 実

さいき みのる

1963年、東京都生まれ。多摩芸術学園写真学科(現・多摩美術大学美術学部2部)中退。嘱託カメラマン、スタジオアシスタントなどを務めるかたわら、鉄道写真に取り組む。現在は鉄道写真作家として鉄道誌や旅行誌のほか、幅広いメディアで活動。車両や駅などの本質をとらえ、精細に作画表現するのをライフワークとする。米屋浩二との共著で『ニッポン鉄道遺産』(交通新聞社)や『ローカル線を旅する本』(KKベストセラーズ)、池口英司との共著で『知られざる鉄道遺産 首都圏 』(交通新聞社)がある。


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