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最近リモート会議がマンネリ気味・・・面白くする冴えたやり方ってありますか?

角田陽一郎×加藤昌治【あんちょこ通信】第11回

 

■リモートでは相手との「関係性」が変わらない

 

加藤:角田くんは「その話を広げると」とか「俯瞰すると」って言って、ちょっと離れたところに話を飛ばすのが得意だよね。それってリモートだとやりにくかったりする?

角田:うん、空気が分からないからリモートだとやりにくいんだよ。「ちょっと横の空間」ぐらいには飛ばせるけど、「亜空間に飛ばす」みたいなのって「こいつ何言ってるんだろう?」と思われそうで、ちょっと躊躇してしまうところはあるな。

加藤:たしかにリモートだと場の雰囲気は感じにくいよね。べつに視覚は変わらないのに。

角田:仕事人生あんちょこ辞典』にも書いたけれど、視覚そのものも三次元じゃなくて二次元だし、匂いとかもないから、気にしないだけでいろんな五感が落ちてるんだよ。

 それに、リモートだと相手との関係性がアップデートされないでしょう。

加藤:どういうこと?

角田:例えば、前回対面で会ってから1年経つ人がいたとしたら、近況みたいな情報は聞いているけれど、相手の関係は1年前と変わらないんだよ。実際対面で会って、飯に行ったりすることを繰り返していると、1年前と関係性って変わっているじゃない。

加藤:ああ、なるほど。直接会って話している時と比べると、リモートでの会話ってメールやSNSでのやりとりに寄ってる感じはあるよね。「人格が変わる」とまでは云わないけれど。

角田:うん、ちょっとした「お化粧」をしてるよね。これが実際に会うと、そのお化粧が「厚化粧」なのかとかが分かるから、やっぱり直接会うことって意味があるんだよ。

 

 ■あえて「アウェーな場」に身を置いてみる

 

加藤:画面越しでは落ちる情報がいろいろあるけれど、一方で「物理的に座ってる場所」も関係するのかな。例えば、この相談会はリモートでやってるということで、角田くんもかとうもある意味「ホーム」から参加しているわけだ。

角田:うん。本当の「家」かどうかはべつにして、お互いプライベートな空間にいるよね。

加藤:けれどもリアルのミーティングの場合は、自社の会議室も含めてある意味全員がアウェーな環境にいるわけだよね。いる場所による意識の違いみたいなのってあるのかな。

角田:それは絶対にある。対面の打ち合わせでも、例えばあるタレントさんのキャスティングの相談に先方の芸能プロダクションのオフィスに伺って話すか、TBSに来てもらうか、それともカフェで話すかで、お互い話し方が変わるものだよ。そういう場の空気感は、リモートだと中和されていると思う。

加藤:みんなバラバラの場所からログインしてるからね。

角田:サッカーで言うと、ホームにはホームの戦い方があるし、アウェーならアウェーの戦い方がある。ワールドカップみたいに第三国なら第三国での戦い方がある。けれどもリモートではそこがバラバラだから、場に合わせた適正化がうまくできていないのかもしれない。

 それに「どちらの職階が上か」みたいなことって実際には結構大切だけど、リモートだと見た目の上ではみんな同じになってしまうよね。

加藤:リアルな会議では、偉い人の椅子の周りだけ間隔がちょっと広かったりするけど、リモートだとみんな同じように顔が映ってる。我々おじさん世代が、リモートワークにいまいちしっくりきていない理由として、リモートワークで「平等・公平」と「ホーム・アウェー」が失われたことがあるのかもなあ。

 だとしたら、リモートでも自宅から入らないことで、わざと「アウェー」をつくり出す方法もあるかもね。

 リアルで打ち合わせしている時も、「ちょっと雰囲気を変えよう」とか云っていつもと違う階で話したり、喫茶店に行ったりして場を変えてみる努力を結構していたわけだから、リモートでも「自分のプライベート空間」から離れることで、かえって場に没入できるようになるのかも。相談者の方も、ぜひお試しを。

 

文:甲斐荘秀生

 

《いますぐ役立つ!「あんちょこ通信」過去連載記事》

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角田 陽一郎/加藤 昌治

かくた よういちろう かとう まさはる

角田 陽一郎(かくた・よういちろう)

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者 

千葉県出身。千葉県立千葉髙等学校、東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」「オトナの!」など主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社を設立(取締役 ~2013年)。2016年TBSを退社。映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出、「ACC CMフェスティバル」インタラクティブ部門審査員(2014、15年)、SBP高校生交流フェア審査員(2017年~)、その他多種多様なメディアビジネスをプロデュース。現在、東京大学大学院にて文化資源学を研究中。著書に『読書をプロデュース』『最速で身につく世界史』『最速で身につく日本史』『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか』『人生が変わるすごい地理』『運の技術』『出世のススメ』、小説『AP』他多数。週刊プレイボーイにて映画対談連載中、メルマガDIVERSE配信中。好きな音楽は、ムーンライダーズ、岡村靖幸、ガガガSP。好きな作家は、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、司馬遼太郎。好きな画家は、サルバドール・ダリ。

                                                             

加藤 昌治(かとう・まさはる)

作家/広告会社勤務

大阪府出身。千葉県立千葉髙等学校卒。1994年大手広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』(CCCメディアハウス、2003年)、『発想法の使い方』(日経文庫、2015年)、『チームで考える「アイデア会議」考具応用編』(CCCメディアハウス、2017年)、『アイデアはどこからやってくるのか 考具基礎編』(CCCメディアハウス、2017年)、ナビゲーターを務めた『アイデア・バイブル』(ダイヤモンド社、2012年)がある。           

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