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女子大生の”家族留学”から見る、
未来の家族のあり方とは

現在観測 第25回

“いまの女子大生の手で安心して母になれる社会をつくる”を目標に、
「家族留学」という活動を続けている、新居 日南恵さん。

活動を通じて、家族をもつことに対する学生のイメージは、どのように変わったのかを伺った。

「家族留学」で、子育てを体験する

わたしは大学1年次に、「manma(マンマ)」を
​立ち上げて、活動を続けている。
manmaのコンセプトは、いまの女子大生が将来母となった時に安心して暮らせる社会づくりを、当事者から行っていこう、というものだ。
manmaは今年の1月に、2年目を迎えた。

いまの女子大生が母になる上での“安心”を阻むものは、本人たちが望む多様なライフスタイルの選択肢が許容されない、もしくは実現できないかもしれないという不安であると、わたしたちは考えている。
そこで、一年前から「家族留学」の取り組みを始めた。

(家族留学時の写真。右が男子大学生。)

家族留学は、家庭版のOB・OG訪問であるとイメージしていただくとわかりやすい。将来のキャリアプランに悩む女子大生が様々な企業で働く人に会いに行くのがOB・OG訪問だ。同様に、将来のライフキャリアプラン(仕事だけでなく、結婚や子育ても含めた人生設計)に悩む女子大生が様々な家庭を訪れ、子育てをしている家族に会いに行くのだ。

――仕事が100か、子育てが100か。未だに二者択一せざるを得ない、という“諦め”が、女子大生の間に強く残っているように感じる。自分が理想とする生き方が漠然とありつつも、誰に相談できるわけでもなく、実際に見に行けるわけでもなく、一人でそっと諦めているのだ。
しかし、仕事対子育てが、99対1の生き方もよし。30対60の生き方もまたよし、である。
すでにその多様な生き方を実践している諸先輩方は日本中、そして世界中にたくさんいる。家族のあり方や、女性の生き方は多様である。その生き方を肯定したうえで実現できることを、未来を生きる次世代が知ることのできる場が必要だ。

これこそが家族留学である。

実際に、家族留学に参加する学生の中には、自分はキャリアを重視したいから、子育ては半ば諦めていると話す人も多い。そんな人たちが、初めて子供に触れて、「自分も子供を可愛いと思う気持ちがあったのだと初めて知りました!子供ほしいかも!」と笑顔で話して帰っていったりする。そして、バリキャリの両親がいるご家庭に行き、「仕事をしているから子供にも自信を持って接することができるし、子供がいるから仕事にも熱がこもり、相乗効果があるんですよ」という話を聞いて、どちらかを諦めるのではなく、それぞれの心地よいバランスで生きることで、逆に豊かな人生になることを知ったりもするのだ。

受け入れてくださるご家庭の方は、「自分が学生の時にこんな取り組みがあったら、参加したかった」といってくださることが多い。自分自身の経験をシェアし、次の世代につなげていくことが、未来の社会づくりに繋がるのではないだろうか。
 

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新居 日南恵

あらい ひなえ


慶應義塾大学法学部政治学科 在学。東京出身。1994年生まれ。



2014年に“いまの女子大生の手で安心して


母になれる社会をつくる”をコンセプトに掲げ、

任意団体「manma」を設立。2015年1月より学生が


子育て中の家庭の日常生活に1日同行し、

生き方のロールモデル出会う体験プログラム「家族留学」を開始。


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