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Scene.38 本屋はときに艶っぽい!

高円寺文庫センター物語㊳

日米野球を、みんなと観戦して帰宅したら『MLB人名事典』が当たって届いていた。いや、嬉しかった!

『スラッガー』という雑誌の懸賞に、時々応募していた。ここで、懸賞に当たる秘訣を教えます。該当号の感想と、こんなことを読みたいなどの希望も詳細に書くと当たります。ベースボールカードのセットが、当たったこともある!

閑話休題。メジャーリーグの専門誌として1998年に創刊、それ以来ずっと買い続けている。

アメリカ野球は、とにかく楽しい! 一流プレイヤーでも、激しい競争からポジションを奪われかねないので真剣で大胆なプレーを見せて魅せてくれる。楽しんむことも忘れないので、ファンサービスのパフォーマンスがまた観ていて楽しい!

球場をボールパークといって、野球を楽しみに来るファンがまた笑顔。テレビが映し出す、観客席を観ていても楽しいのだ。

1976年だかに、カンザスシティ・ロイヤルズが日米野球で来日して魅せられてしまった。

野球もファンあってだから、真剣なプレーとファンサービスは本屋と変わらないと思い参考にしていた。

東京ドームで野球観戦の後は、必ず「ベースボール・カフェ」。インテリアがメジャーリーグ・スタイルでスタッフもメジャーのユニフォームを着て、みんなで『Y・M・C・A』の歌とパフォーマンスをしてくれるのがまた楽しい!

ご機嫌なひと時を過ごしての帰り道。

「店長。友達のバーボンが、高円寺でバーを作り始めたけんが、行ってみんとね?!」

「内山くんの友達ね。よか、行くっちゃ」

 

今月のゲゲゲの呑み会は、新宿は花園神社のお酉さまで見世物小屋を見るツアー!

出版関係のみなさんは、定時集合が難しい。まずは末広亭に近い山小屋風居酒屋『どん底』に集まることにした。

『どん底』の最上階は屋根裏部屋風で、気分はご機嫌。ところが、話題は過日の奈緒様邸訪問話になってしまった。

そう、まさに「据え膳食わぬは男の恥」的な総攻撃。「バカじゃないの!」とまで、言いきられる始末。いんだよ、八神純子『思い出は美しすぎて』と、秘蔵エピソードにしておいて・・・・

見世物小屋ツアーは怖いもの見たさで女子率高く、恥ずかしい話題に小さくなっているところに、決まって8時半に現れる石川ちゃんも来た。

ツアー御一行、花園神社に向かった。

厚めの白塗りで年齢不詳、かなりのお歳に見える女性が火のついたロウソクを次から次へと口に入れてゆく。ロウソクの束を口の前にかざしたと思うと、なにかを口から噴き出して、ボーっと炎と黒煙が上がった!

「わ~ガソリンの匂いがする!」

「なになに、あれが白蛇様なの?!」

危険だからと『大蛇』の頭部に布を被せ、大の男二人で押さえつけている。本物なのか、正体は見せない。

「さあ、白蛇様の抜け殻の皮を差し上げますよ。お財布に入れておけば、金運アップ!」

脱兎のごとく駆け寄る観客。したたかに、わたくしめはゲット!

「さあ、この男!

舌に針金を通すどころか、それで薬缶を持ち上げてみせます」

廃墟は、朽ち果てるまでに多少の時間が経過してゆく。人々が織りなした伝統文化は、継承されなければ途絶える。ネオ見世物小屋は終わった

「きゃ~痛そう!

やだやだやだ、すっごい!」

と、ご覧になった方はどんどんお詰め下さいね。ってな具合で、出口に流されてゆく。そこで木戸錢800円を払うシステムなのだが、高いとは思わなかった。

この国のかけがえのない庶民文化。見世物小屋の最後の興行社となってしまった、大寅興行社のオリジナル・パフォーマンスを観ておいて本当によかった!

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のがわ かずお

1951年 東京生まれ。書泉を経て、高円寺文庫センター店長。その後、出版社のアートン・ゴマブックス・亜紀書房顧問。本屋B&B、西日本出版社などにかかわる。 温泉とプラモデルと映画を、こよなく愛する妖怪マニア。共著『現代子育て考5.男の子育て』(現代書館)、『独断批評』(第三書館)。


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