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安倍晋三と知床遊覧船・桂田社長の共通点【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第17回

「ウラジーミル。君と僕は、同じ未来を見ている。行きましょう。ロシアの若人のために。そして、日本の未来を担う人々のために。ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか。」2016年12月16日、安倍晋三はプーチンとの親密ぶりを披露した。

 

■結局、恥知らずが一番強い

 

 4月23日、26人が乗った遊覧船「KAZU I」が知床半島西海岸沖のオホーツク海域で消息を絶ち、船内浸水後に沈没した。14人が死亡、12人が行方不明という大惨事になり、当然、運航会社「知床遊覧船」の社長である桂田精一に批判の声が集まった。「打落水狗」という言葉もあるが、落ちた犬を叩く趣味は私にはない。しかし、その後の桂田のふるまいは常軌を逸していた。確たる裏付けがないまま、事故原因は高波や座礁ではなく「クジラにぶつかった可能性ある」と言い出したり、LINEで「マスコミは面白がり物語を作ります。なるだけテレビを見ないでください」と従業員らにメッセージを送ったり。

 謝罪会見では赤いネクタイで登場し顰蹙を買った。遺族への説明もまともにせず、記者から豊田船長がFacebookに「ブラック企業だ」と書き込んでいたことについて質問されると「ブラック企業。私はわからない」と鼻で笑ったとのこと。「最終責任は私(にある)」と言いながら、責任から逃げ回る姿は、「最終責任はアタクチにある」と言いながら逃げ回る安倍晋三と瓜二つである。

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 安倍はテレビ番組でロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、バイデン米大統領がロシアが軍事侵攻しても米軍を派遣する考えはないと語ったことについて「アプローチ自体がプーチン大統領にやや足元を見られたかもしれない」と発言。どこまでも恥知らず。「ロシアに足元見られた」のはお前だろ!!

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 つい最近まで全力でこびていたプーチンに対しては「自分の力を過信した結果、こういうことになっている」「彼の気にいる情報だけが入る状況になっていたのかも」と発言。すべてがブーメラン。結局、恥知らずが一番強い。恥を知る人間は、自分が間違えたら少なくとも反省して口をつぐむ。反省しない人間は、さらに嘘やデタラメを拡散することで生き延びようとする。問題は、この類の人間を適切に処罰できない社会になってきたことだ。

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 そんな安倍に一部では再々登板を待望する声もあるそうな。縁起でもない。アメリカがバイデンで日本がデンデンってしゃれにもならない。

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 朝日新聞が森友問題を取り上げていたことについて、ネトウヨ記者がそれを揶揄。安倍は引用ツイートし、「相変わらずの朝日新聞。珊瑚は大切に」などと大昔の朝日新聞の不祥事をほのめかした。珊瑚に関するデマを撒いたのはお前だろう。テレビ番組で、名護市辺野古の埋め立てについて「土砂投入に当たって、あそこの珊瑚(は)移している」と発言したが、これは根も葉もない嘘だった。土砂が投入された海域「埋め立て区域2―1」から珊瑚は移植されていないし、「砂をさらって絶滅危惧種を別の浜に移した」という説明もデマだった。「琉球新報」は社説で、「一国の首相が自らフェイク(うそ)の発信者となることは許されない」と批判した。

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 安倍が国会で嘘をつくのは常態化しているが、プーチンに「北方領土問題を解決した上で平和条約を締結するのが日本の原則」だと直接反論したとか、米軍のF15戦闘機墜落に関し「飛行中止を申し出た」などと、外交の場でも平気な顔で嘘をつく。わが国にとって安全保障上の一番の問題は、このホラ吹きが野放しになっていることである。

次のページわれらの狂気を生き延びる道を教えよ

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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