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住みたい街ランキング1位“恵比寿”の地名の由来とは!!

「2016年版 みんなが選んだ住みたい街ランキング 関東版(『SUUMO』調べ)」1位に輝いた、恵比寿の地名の由来!!

 サッポロビールには二つの流れがあります。その一つは明治九年(一八七六)札幌に創業した開拓使麦酒醸造所であり、これがサッポロビールの本流です。もう一つは明治二〇年(一八八七)東京に設立された日本麦酒醸造会社です。

 東京で生産することになったビールに関しては、ドイツ人醸造技師の指導もあって、現在のガーデンプレイスの場所に工場を建て、生産を開始しました。このビールは縁起をかついで「恵比寿ビール」として売り出されました。明治二三年(一八九〇)のことです。

「恵比寿」というブランド名は、古くから七福神として親しまれてきた恵比寿にちなんでつけれました。

 七福神は福徳をもたらす神として信仰されてきた七体の神をいうが、江戸時代半ば以降は、恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・布袋(ほてい)・福禄寿(ふくろくじゅ)・寿老人(じゅろうじん)をいいます。

 そのうち、恵比寿は商売繁昌の神として信仰を集めてきました。

 このけっこうな名前にちなんで、明治三九年(一九〇六)には恵比寿駅が誕生、昭和三年(一九二八)には「恵比寿」という町名が誕生しました。

 企業名から生まれた地名は、日立や豊田のような例はありますが、商品名から生まれた地名というのは極めてめずらしいのです。

「サッポロビール」は札幌に生まれたビールですが、「恵比寿」はビール名から生まれた地名なのです。

 ところが、恵比寿ビールは昭和一八年(一九四三)製造が中止されてしまいます。恵比寿ビールが復活したのは、昭和四六年(一九七一)のことでした。

 その七年前に当たる昭和三九年(一九六四)には、日本麦酒株式会社はサッポロビール株式会社に変更しています。

 戦後途絶えていた恵比寿ビールは「エビスビール」として二八年ぶりに復活しました。

「名品、いま、よみがえる。特製エビスビール」と紹介され、「目出度いうまさで新発売」「泡までちがいます」ともいわれました。

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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  • 2014.09.26