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橋下徹が大石あきこ代議士を名誉毀損で訴えたのはスラップ訴訟ではないのか? 第一回口頭弁論がスタート

政界引退を発表している松井一郎大阪市長(左)と、イソジン吉村こと吉村洋文大阪府知事(右)

■橋下徹は吉村・松井の援護射撃のために訴訟を起こしたのか?

 

 他にも「橋下氏が吉村・松井の援護射撃のために訴訟を起こしたのでは?」と聞かれると、大石代議士は「このようなやり方はおかしい。健全な民主主義を保つために批判は必要」と弁護士に言われたことが自分の力になったと語り、「批判の中身に異議があるなら議論をするのが民主主義」と述べた。その上でマスメディアが橋下氏に萎縮していると指摘した。

 また、橋下氏のマスメディアへのアメとムチのアメの部分について聞かれると、弘中弁護士は「ムチの部分は証拠を出すのは難しくない。アメの部分は立証するのは難しい」と述べ、「向こうはアメの部分を利用してこちらを罠にかけようとしているのだろう」と読み、「(アメとムチの)二段構えで提示されたので作戦を練りたい」と語った。

 関西テレビからは「裁判で「言論には言論で反論すればいいのに裁判を起こされたのをどう感じるか? 今回の裁判で最も訴えたいことは?」という質問。これに対する回答が筆者は非常に印象深かった。

 大石代議士は「今回の裁判は、自分よりも社会的に大きな影響力を持つ人が小さい立場の自分を口封じのように訴えるのは不当だ」と断言し、「問題は橋下氏のように影響力が強い人が、一市民に『いらないことをいうな』と黙らせること、マスコミに対しても余計なことを聞くなと言わんばかりの行動を取るのは許せない。だから自分も最大限慎重にやって、裁判に負けないように、橋下氏に『こんなことをやるなよ』と伝わるようにしたい」と述べた。

 今回の裁判について大石代議士の思いが聞けるやり取りであった。司会を務めた中井弁護士も日刊ゲンダイの記事で「名誉毀損」とやるのは明らかにおかしいと述べている。

 前述したように橋下氏は岩上安身氏の他、有田芳生参議院議員、マスメディア相手にスラップ訴訟を起こした経験を持つ。今回も相手が現職の国会議員とはいえ、スラップ訴訟と言ってよい。こうした裁判が乱発されれば、一市民とメディアは政治家に対して何も言えなくなる。

 橋下氏は口では「言論の自由」「報道の自由」を守るべきと言っているが、それは自分に対して好意的な報道だけである。批判に対して権利を行使するのは許されないというのは、これまでの行動で明白になっている。5月27日に第二回の口頭弁論が開かれるが、そこでどんな証言や証拠が飛び出すのか注目したい。

 

文:篁五郎

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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