巨人「中田翔」と「報知新聞」は暴力事件をすっかり忘れたのだろうか【篁五郎】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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巨人「中田翔」と「報知新聞」は暴力事件をすっかり忘れたのだろうか【篁五郎】

 スポーツ紙も中田の暴力事件はなかったかのような扱いをしている。特に中田を大きく取り上げているのは報知新聞だ。巨人御用達スポーツ紙であるせいか、今年になって中田に関して好意的な記事が多く掲載されている。

 例えば、自主トレのリモート会見の記事は「【巨人】中田翔が移籍2年目のシーズンへ闘志「一から頑張るだけなので」」と見出しを付け、暴力事件については一言だけ。後輩・秋広との関係については「【巨人】秋広優人、中田塾では1日米9合の食トレ!「1軍で戦える体を作れるように」」という見出しを付け、中田が厳しく指導している様子を報じている。しかも「【巨人】中田翔、秋広優人への1日米9合の食トレサポートで「破産しかけています。米送ってください」」という見出しの記事では、中田が冗談で「ちょっと破産しかけています。米送ってください」と言ったのを一つの記事として取り上げているほどヨイショしている。他にも「【巨人】中田翔の言葉の法則 20年「レベチ」→自己最多31発 21年「ゴミ」→自己ワースト 今年は…「自信」」なんて見出しの記事で中田が今年大活躍するような予感をさせる記事まで掲載させている。昨年1割5分の男に何を期待しているのかわからない。しかもヤクルトOBで野球評論家の宮本慎也氏から、「中田には決定的な弱点がある。極端に踏み込んで打つため、内角への速い真っすぐや、内角に食い込んでくる球種に対してほとんど対応できない」と指摘されている。パ・リーグと違ってセ・リーグは弱点を突く投球が主流だ。徹底的に弱点を突かれた中田がどこまで成績を残せるのか疑問である。これだから御用達新聞はダメだと言われてしまうのだ。少しは悪い点も取り上げて発破をかけるのも大事だろう。

 

 それともう一つはっきりとさせておきたいのは、中田は特に処罰を受けていないことだ。確かに日本ハムにいた2021年8月に無期限の出場停止処分を受けたが、9月には巨人に無償トレードされ、処分は解かれた。日本ハム側は当初「統一契約書第17条に違反し、野球協約第60条(1)の規定に該当するものと認定」としたので無期限の出場停止にしたが、巨人は統一契約書を無視していると思いたくなるほどの早さで処分を解除している。球団によって統一契約書の見解が変わるのであれば何のためにあるのか意味をなさない。この点についても報知新聞は巨人側が演出した「野球ができなくなるかもしれない中田を巨人が更生のために居場所を作った」という美談に乗っかった。日ハムの処分を受け入れて二軍で反省している姿を見せたならば通用したかもしれないが、すぐに処分解除して一軍でスタメン出場したら説得力ゼロである。

 しかも中田にはまだ疑惑が残っている。それは2021年1月に週刊新潮が報じた、裏カジノ経営者との“黒い交際”の件だ。記事によれば中田は裏カジノ店経営で逮捕された男性とグラウンドで記念撮影をし、当該男性は自身のインスタグラムに写真をアップしている。その際に「日ハムの練習風景、中田選手、西川選手いつもありがとうございます〉との一文が絵文字付きで添えられていた。

 この件について中田はインスタグラムで「記事のこと本当なんですか?」という一般ユーザーから質問されると「記事のような事実はありません!!」とコメントを残しただけ。この件についても有耶無耶にされたままだ。そうした面もしっかりと指摘をするのが巨人に近い報知新聞の役目だが、そんなことを知らないようだ。

次のページ中田が増長して後輩へ暴力やいじめをしたら巨人はどんな処分を下すのだろう

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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