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Scene.12 さぁ、先へ行こう!

高円寺文庫センター物語⑫

「今日はちょっと、きついダブルヘッダーだよ。みんな!

15時からのサイン会を終えたらさ、18時半からは初のトークライブを高円寺会館だからね。

高円寺会館の会員未登録で会場費が9000円もかかっているから、物販で回収を頑張ってよ! それから、今後に活かすのにアンケートも頼むな。」

サブカルチャーの街ともいえる高円寺には、ドンピシャな根本敬さん。新刊『天然(完全版)』の発売記念に発売元の水声社さんと組んだサイン会は、第2部としてトークショーも企画した。

「サイン会は最初のみうらじゅんさんと、2回目の井上三太さんで成功してるじゃん。ここは続けて盛り上がりたいよな」

「店長、大丈夫よ。根本さんはマニアックだから、根強いファンが来てくれるわよ」

りえ蔵をはじめ、高円寺マーケットそのもののバイトくんたちはクール。店長としては、ソロバン弾く!

小さくてもガッチリ稼がなくちゃの街角書店として、店の個性はサブカルチャーをメインにしてきた成果が問われるダブル・イベントになると思っていた。しかも、サイン会にプラスアルファを考えたのがトーク・イベント。当然、店を飛び出して経費のかかる会場を借りたトークショーになった。

確かに、根本さんの著作は多くが平積みのロングセラーになっていた。

青林堂『生きる』『生きる2』『天然 甲篇・乙篇』『怪人無礼講ララバイ』『豚小屋発犬小屋行き』『お岩』『定本 ディープ・コリア』

ペヨトル工房『ディープ歌謡』『夜、因果者の夜』共に、幻の名盤解放同盟名義。

ブルース・インターアクションズ『人情山脈の逆襲』『キャバレー妄想スター』『黒寿司』

KKベストセラーズ『因果鉄道の旅』洋泉社『人生解毒波止場』太田出版『電波系』

文庫センターでロングセラーだった、根本敬さんの著作の一冊。

これらをみても、出版社からしてディープで個性的な三社から複数が上梓されている。これは、根本敬専売書店といってもいいんじゃない?!

サイン会の時間が近づくと、静かに整然と店の外に行列ができ始めた。先頭のお客さんたちは心得ているのかな? この静かなる行列は、ずっと手間いらずに貫き通された。

「行列が、店を囲んじゃっているじゃん」

「やっぱり、みうらさんみたいにイラストまでサインに添えていますよ」

「お客さんは、喜んでくれるよなぁ~トータル、何名になるの?」

「70人はいくから、成功ですよね」

「OK!イェイ♪ みんな、さあ次へ行こう!」

 

アタマの中には、Steppenwolfの「Born to Be Wild」が流れる。

Scene.12 さぁ、先へ行こう!

 

続いてのトークライブ会場。中央線の高架沿いで店からも近く、100名は入る公共施設を借りた。

3回目のイベントで初のトークショーという大冒険だけに、向こう見ずだったかなという懸念もあった。

「店長、レンタルのモニターが届きました!」

「椅子は何人分を置きますか?」

「外はざっと数えて80人くらいですよ」

「OK! 予定通りだね。いい感じじゃん」

高円寺の秋空を見上げながら考えていた。日頃から口癖のように唱えていた、「本屋は店に来てもらう待ちの姿勢だけじゃダメだ、打って出ないと」

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のがわ かずお

1951年 東京生まれ。書泉を経て、高円寺文庫センター店長。その後、出版社のアートン・ゴマブックス・亜紀書房顧問。本屋B&B、西日本出版社などにかかわる。 温泉とプラモデルと映画を、こよなく愛する妖怪マニア。共著『現代子育て考5.男の子育て』(現代書館)、『独断批評』(第三書館)。


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