Scene.11 小さくてもデッカイぜ! |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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Scene.11 小さくてもデッカイぜ!

高円寺文庫センター物語⑪

「テレビ東京が、ゲバラで取材したいってか・・・なんで?」

「店長、いまミュージックシーンではレイジ・アゲンスト・ザ・マシーンってバンドが、ゲバラをイコンにして世界中で盛り上がっているんですよ」

と、すかさずバイトの鈴木くんからアドバイス。

ありがたいな、多彩なバイトくんが多いということはブレーン=脳が豊富にあることだからさ、スタッフ=ブレーンの知恵をいかに傾聴するかだ。

海風書房さんとのご縁から、ゲバラ・グッズを仕入れてミニ・コーナーを作っていた。文庫の『ゲバラ日記』が売れているのは知っていたけど、フェアにしたのは個人的趣味。

アメリカに支配されていたキューバを、カストロと共に武力革命で解放したチェ・ゲバラ。さらに中米も解放しようとボリビアで戦ったが、政府軍に捕えられて射殺されちまった。

キューバで高官の地位にとどまらず、戦い続けたゲバラの正義感は若者に共感を与え続けているのだろう。それが、高円寺ではウケてしまう。

ゲバラの手紙と、バッジやキーホルダーにポストカードを仕入れ関連書と共に並べてみた。そして、欠かせないのがTシャツ!

取材にやって来たのは『トゥナイト2』の美人レポーター。付け加えると、可愛い!

こんな美人に取材されるなんて、最高の店長仕事ってウッキウキ!

「店長さん、テレビカメラに緊張されませんね?」

「はい、何回か経験して慣れてきました」

ウィットもユーモアもないコメントが、最低な自分。

「テレビで観るより美人なんで、緊張しています」なんて言えなかった・・・・

Tシャツを見つけた彼女「これを着てレポートさせてくれますか?」いいに決まっているでしょ! 

事務所に案内して、ドッキドキ。

ゲバラコーナーには文庫と一緒に、バッジやキーホルダーも。

「ケケケ、内山くん。ドア一枚向こうでTシャツに着替えとると」

「店長、完璧にニヤケとるばい。ゲバラの手紙、紹介を忘れんとって」

事務所のドアを開けて出てきた彼女、黄色地のゲバTが眩しいじゃないか! その後の記憶、ない・・・

 

「明日を考えると、さすがに緊張するな!」

「2試合連続のエキサイティング・ゲームばい」

「3試合目でダブルヘッダーってさ、バカだろぉ・・・・」

 

 

 
 
 

 

 

 

 

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のがわ かずお

1951年 東京生まれ。書泉を経て、高円寺文庫センター店長。その後、出版社のアートン・ゴマブックス・亜紀書房顧問。本屋B&B、西日本出版社などにかかわる。 温泉とプラモデルと映画を、こよなく愛する妖怪マニア。共著『現代子育て考5.男の子育て』(現代書館)、『独断批評』(第三書館)。


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