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大石あきこが「自民よりも維新と戦う」と言った理由【篁五郎】


 れいわ新選組の大石あきこ議員は先般行われた総選挙で初当選をした新人議員だ。しかし、新人ながら一部の政治ウォッチャーから注目を集めている。

 その理由は、彼女が今話題の文書交通費について維新の会の副代表の吉村洋文大阪都知事が衆議院議員時代に行った行為を白日の下に晒したからである。それは吉村府知事が議員辞職した日が月頭なのに文書交通費遠満額受け取って寄付も返済もしていなかったことだ。ご存じのように維新の会は文書交通費を日割りにして領収書も公開するように求めている。その矢先にブーメランが刺さって格好だ。

 その件がきっかけで橋下徹元大阪市長からTwitterでバトルを仕掛けられるも、一歩も引かずにやりあった。

 そして大阪府庁で公務員をしていたときには、当時の橋下徹大阪府知事にマスコミのカメラがある前で正面から意を唱えたこともある。

 この二つの事実が筆者が大石あきこ議員に取材をしたいと思ったきっかけだ。大阪に住んでいながらこれだけ維新の会や橋下徹氏に堂々と戦ってきた人を知らなかったからだ。どんな戦いをしてきたのか? これかられいわ新選組の議員としてどんな訴えをしていくのか? 本人に話を聞いてみたくなり取材をお願いしてみた。

 そうしたら快く引き受けていただき、これまで維新の会、いや橋下徹氏と戦ってきたことや、これから国会議員としてやりたいことを聞いてきた。


大石あきこ議員

 

■橋下府知事と大阪府庁の中で戦っていた

 私が大阪府の職員として働いていた6年目の2008年に太田房江さん(現・参議院議員)から橋下さんに変わりました。橋下さんは数年で大阪市長になって、松井一郎さん(現・大阪市長)が知事に変わりました。吉村洋文さんは私が退職した後の2019年に府知事になったので、上司になったことはありません。

 だから橋下・松井時代に府の職員として過ごしています。

 橋下さんの時代は「あの人の言うことは絶対に聞かないとダメ」、「どんな理不尽なことでもトップの言うことを絶対に従わないといけない」というのをすごく強いられていたんです。府の職員の仕事全体が「橋下さんの言うことを聞かないといけない」というものでした。例えば、職員基本条例というのが大阪府議会で成立したんですけど、橋下さんに従わなかった、仕事ができないみたいに判定された職員が2年連続で低評価とされたら分限免職といってクビにさせられるルートに乗せられるとなりました。それが政治活動規制条例というのと二本立てで職員を締め付けていたのです。

 「政治活動」とは、共産党の集会に参加するとか、府庁内で大阪都構想に反対するとか、橋下さんが気に入らないことです。この二つの条例で職員が萎縮してしまいましたね。本来であれば一職員や労働組合が「大阪都構想はダメ」とか「カジノだめ」と言うのは自由なんですけど、橋下さんが目を付けてばんばん取り締まるんです。大阪市庁でも思想調査みたいなことをしていたし、そういう人物のいう政治活動というのは組織内部では橋下さんの気に入らないことってなるんです。トップの意向に逆らうと反乱分子みたいな扱いされてしまうから組合も萎縮して橋下さんの府庁内でのやり方にものが言えなくなってしまったと私は考えています。

 私は関係なしにバンバン言っていましたけど、「あなたの主張は特別」みたいに組合も歓迎しない。異論を唱える人のアクションを潰すというのを橋下さんが意図的にやっていたので組合が萎縮してしまったと思います。私はおかしいと思ったから職場で「都構想あかん」というチラシを自分で作って配ってました。今まで当然だったのが、庁舎管理の部署から不法侵入と言われたりするほど橋下さんに忖度するようになったんです。

 「なんで?」と問うと「職務と関係ないから」と。いやいや関係あるでしょ。私は労働組合の組合員の一人としてやりました。そうしたら組合も「あなたのやっていることは処分されるからウチの組合は関係ない」と言ってくるんです。まあ結局処分はされませんでしたけど(笑)

 組合の上の人達も橋下さんに逆らってクビルートに乗りたくないからか表だって都構想反対はしませんでしたね。

 橋下さんの締め付けはそれはそれは恐ろしくて、彼が府知事の時代は職員の自殺が多かったんです。1年間で8人も自殺した職員が出たこともあります。正直因果関係は難しいじゃないですか。でも、統計上はそうなっています。議会でも問題になって、橋下さんも「自分の責任も」みたいな言い方ですけど一部責任を認めているんです。週刊誌にも「橋下徹に殺された職員」といった見出しで記事になりましたね。

 だから府庁内にいた人は「そりゃ自殺者も出るわ」と言いたくなるのはよくわかります。

 亡くなった事例を見ても内々からその人が追い詰められたとか、イベントの管理で失敗したとか、大事な情報を失ったとか、噂が流れてくるんです。ああ、それで自殺したんだなってみんなわかる。だって橋下府政の下で失敗をしてしまうと死の恐怖に直結かもというのは私も職員としてわかりますから。

 そうやって職員をどんどん追い詰めてくるから誰も何も言えなくなっちゃう。でも私は言い続けてきたので橋下さんが私を嫌いなのはよくわかります(笑)

 橋下さんが大阪市長に転身して、松井一郎さんが府知事になったら締め付けは緩くなりました。それは橋下時代に血の入れ替えというか、萎縮の空気が府庁内に完全に蔓延していたので緩めても松井さんに逆らう人が私以外におらんかったからだと思います。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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