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世界はコロナワクチン証明書を巡る科学的信仰の分断とデモ。75%接種率の日本はどうなる?【松野大介】

■科学信仰の分断

 

 私はワクチンに反対ではなく、今回のコロナワクチンに対して副反応や死亡例の多さから危険性を危惧していて、それを報じないメディアに疑問を持っている。

 日本での接種後死亡者は1359人(11/12厚労省発表 )。

 ネットには副反応の書き込みが溢れている。日本の接種率は75%超に達し世界トップクラスだが、4人に1人の未接種には副反応を警戒している人が多いだろう。ツイッターなどSNSでは接種者と未接種者との言い合いも見られる。

 ニュートラルな立場で捉えると、遺伝子ワクチンという人類初のものに一般人には科学的な判断はつかない。

「多少のリスクがあっても効果が大きい」という科学者らの情報と、

「性質上危険であり、効果の度合いも不確か」とする科学者の理論のどちらを信じるか。そういう判断でしかない。

 政治とメディアは「打て」と言う。「打て」ば収束し、元の生活に戻れると。そこに「周りが打ってるのになぜ打たない?」という会社の命令や全体主義的な同調圧力が加わり、警戒している人も打つようになった。

 結果、75%の日本人はコロナワクチンを「信じた」ことになる。政治もメディアも人々もコロナワクチンを信じるという科学信仰に傾いている。信仰は分断を生む。そして権利の抑圧に発展し、今回は未接種者に行なわれる。科学を信仰すると科学から離れていくのだ。

 今、外国のデモは「政治対未接種者」という対立だが、やがては「未接種者VS接種者」の構図を含み、人種や収入の格差まで波及するかもしれない。未接種者の黒人を接種者の白人警官がレストランで見つけて外に連れ出して殴打するとか、未接種を理由に解雇された貧困層の人をどこも雇わないなど。

 そんなことは起きてほしくないが、それはもともと差別や分断を好む人たちが、ワクチンをきっかけにエスカレートするのだろう。

 日本だと接種者の親が自分の子どもを未接種の子どもに近づかないように差別するなど、分断は学校内や地域によっては起こるだろう。だが日本人は対立よりも、ウイルス対策とビジネスが一体化したサービス利権に重きを置く民度だから、欧米のような振り幅でデモや差別事件は起こりにくい。未接種者が立ち入りを拒否された場所で刃物を振り回すような幼稚な事件が起きないとは言えないが。

 個人的な結論としては、遺伝子ワクチンに疑念を持っている人たちを含む未接種25%は、接種者との感染度合いや感染時の重症化をデータ比較するために残してもいいのではないか? すべての人が遺伝子ワクチンを接種した時には本当に科学信仰になり、「みんなで打てば恐くない」の全体主義になってしまう。

文:松野大介

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

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