松田公太「コロナで客が来ないから」外食産業の家賃棒引き法の無法地帯 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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松田公太「コロナで客が来ないから」外食産業の家賃棒引き法の無法地帯

【連載】「コップの中の百年戦争 ―世の中の不条理やカラクリの根源とは―」

■「あの人は今」の松田公太がベクトルに担がれ再登場の怪

 で、誰がこんなクソみたいな騒ぎを起こしているのかと思って見てみたら、元タリーズの松田公太さんじゃないですか。何してるんですか。いつの間にか、飲食店を経営していたのですね。興味が無いので知らなかった。

 この松田公太さん、旧「みんなの党」「日本を元気にする会」として参議院議員をやっていた人ですが、解党時に4億円ほど残っていた政党交付金がどっかいった事件がありました。読売新聞でも「みんなの党、解党直前に交付金4億円余を支部に」と報じられ、その後、後継党となる「日本を元気にする会」において、擁立を進めていた乙武洋匡さんに断られたかどで、週刊新潮に松田公太さんが乙武さんの不倫旅行をタレ込むという騒ぎまで起こしていました。

 政治資金については政治資金規正法に基づいて適法に処理されたとは思いますが、元政治家として本来きちんと説明責任を果たすべきところ、対外的にはいまだ納得のいく説明をされないまま早5年が経過しようとしています。

政治資金ごまかした松田公太さん、逆恨みで乙武洋匡さんの不倫旅行を暴露
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20160328-00055955/

 そういう松田公太さんが、なぜか「外食産業を救済する政策を求める団体を作り、ロビー活動を始めている」というのは飲食の題材でありながら表現は良くないのかもしれませんが糞パンもとい噴飯ものであると言えます。

 さらに、これらの動きをバックアップしているのが、PRサービス大手のベクトルグループ(株式会社ベクトル)傘下の広告代理店イニシャル社だそうです。これはいったい何を考えているんですかね。松田公太さん自身が社外取締役じゃないですか、株式会社ベクトルの。社外取締役自らが足を突っ込んでいる飲食業界のロビーを、PRが本業の自社ベクトル社で他人事のように持ち上げるってのは何なんでしょう。ベクトル社はいつの間にか飲食店経営の代理人か何かになったんですか?書いておいたほうがいいでしょ、この人は株式会社ベクトルの社外取締役で、会見を仕込んでるイニシャル社の関係者ですよって。PR会社としてはもちろん、上場企業としてのモラルもへったくれもないのでしょうか。しかも「苦しみを分かち合おう」と言っている松田公太さんの経営しているパンケーキ屋、5億7,000万円の利益剰余金があって、この人にその辺の潰れそうな飲食店を代弁する資格がどこにあるのかさっぱり理解できません。

 飲食店が厳しいから家賃の減免を求めると一口に言っても、その飲食店に食品を納めている一次産業の農家や漁業、酪農などの生産者や流通、卸など業者筋も、需要の激減のために大変なことになっているわけですよね。彼らは救わないんですかそうですか。不動産業界も飲食店が業績不振なのは分かっているから、契約に基づいていったん契約をちゃんと満了し、原状復帰して保証金をお返ししてすぐに出直せるようにするのが筋だと思うんですよ。

 なのに、なんでいまさら業界団体作ってロビー活動やって、すでに賃貸契約の中に書いてある「交渉に応じることの義務化」まで言われなければならないのか、理解できません。そういう変なことを言う飲食店がいるのが当たり前の世界だから、個人保証を取り、保証金を入れてもらい、家賃保証を挟み、退去する場合は半年前までに通告してくださいと決めているのです。

 それでも現金がないのだ、苦しいのだという話であれば、冷たいようですけど他の産業や業種と同じように、日本政策金融公庫や商工中金に行き緊急融資を受けたうえで、ちゃんと厚生労働省や経済産業省が進めている救済政策に応募するべきです。

 なじみの店が消えるのは悲しいし、いま行きつけの焼肉屋もお魚屋もみんな営業自粛で閉じてるから早く再開して欲しいとは思うけれども、それはあくまで目立つところで商売をしているからみんな「おお、苦しいのか」と感じるのであって、実際には生産者や流通や卸やその他業界も等しく苦しく、じきに不動産業界も賃料低迷や地価下落が起きるだろうし、不動産を転がすために仕入れた不動産を片っ端から担保に入れてカネ借りて次の物件買うタイプのチンパンジーとゴリラが経営しているような不動産屋もバタバタ倒れますよ。世の中、そんなもんです。

 いずれにせよ、ここで出る「外食産業の声」に名前を連ねるような飲食店や、代表取締役の企業はリストが出回って、コロナウイルス騒動が回復するころには「こいつらに貸すと、苦しいときに徒党を組んで減賃交渉してくるから貸すな」って話になるんじゃないですかね。

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山本 一郎

やまもと いちろう

著作家、ブロガー、投資家、経営者

1973年東京都生まれ。著作家、ブロガー、投資家、経営者。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2000年IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作を行うイレギュラーズアンドパートナーズ株式会社を設立。著書に『情報革命バブルの崩壊』『俺様国家中国の大経済』『ネットビジネスの終わり』ほか。   ブログ「やまもといちろうオフィシャルブログhttps://lineblog.me/yamamotoichiro/  

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