花の都パリから世界へ 「バレエ・リュス」の奇跡<br />―大人のバレエ鑑賞入門― |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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花の都パリから世界へ 「バレエ・リュス」の奇跡
―大人のバレエ鑑賞入門―

牧阿佐美バレエ団 Presents 大人のバレエ鑑賞入門④

 

 バレエ・リュスが一時の衝撃に止まることなく、20年もの間、芸術シーンに大きな影響を与えつづけたのには、いくつかの理由がある。ディアギレフは、アンナ・パヴロワやヴァーツラフ・ニジンスキーといった卓越した踊り手や、振付家のフォーキンやバランシンなどの劇場関係者のみならず、当時、パリを中心に活動していた数多くの前衛芸術家たちを巻き込んでバレエ・リュスを進化させたのだった。

 代表的な名前を挙げるだけでも、音楽家ではストラヴィンスキーを筆頭にラヴェルやドビュッシー、サン=サーンス、プロコフィエフなど錚々たる面々。画家ではピカソが緞帳(どんちょう)を描き、衣装デザインではマティスやキリコ、ブラックやローランサンも協力、さらにデザイナーのココ・シャネルも参加。ジャン・コクトーは台本を書いた。

 パリが世界の芸術の中心であった最後の時代、ベル・エポックからレ・ザネ・フォル(狂乱の時代)は、そのままバレエ・リュスの活動期と見事なまでに重なった。

バレエ・リュスのトップスター、ヴァーツラフ・ニジンスキーの『饗宴』。

バレエ・リュスのトップスター、アンナ・パヴロワの『瀕死の白鳥』。

 

■世界各地へと拡散したバレエの夢は21世紀へ

 20年に及んだバレエ・リュスの活動は大きく三期に分かれる。

 まず、デビューから第一次世界大戦開始頃まで、フォーキンやニジンスキーが活躍したエキゾティシズムとプリミティヴィズムの時代。次いでロシア革命で多くの団員が西欧への亡命を決めた大戦期の1920年頃までが、モダニズム時代でパリのアーティストや文人たちとの競業が盛んだった時期。そして挑戦的な舞台と伝統的な古典回帰が同時に行われたアヴァンギャルドの実験と狂騒の時代だ。

「バレエ・リュスは歴史上最初の現代的な商業バレエ団でした。それは、ディアギレフという『興行師(インプレサリオ)』の優れた手腕があってこそ存在したのです」

 1929年、突然のディアギレフの死によってバレエ・リュスの活動は幕を閉じる。しかし、彼らの夢は多くの団員たちよって、パリを始め世界各地へと広がった。ロンドンやN.Y.にオーストラリア、そして日本を始めとした東洋の国々にまで…。ディアギレフが抱いた総合芸術バレエの夢は、いまもますます大きくなりつつある。

20世紀後半のバレエにさらなる革新をもたらしたローラン・プティの『アルルの女』(牧阿佐美バレヱ団公演/撮影:山廣康夫)。

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【牧阿佐美バレヱ団公演情報】
『ノートルダム・ド・パリ』

公演日時:2020年3月14日(土)/15日(日)
会場:文京シビックホール 大ホール

“ダンスの魔術師”の異名を持つ振付家ローラン・プティが生み出した20世紀最高のスペクタクル・バレエです。

●日時:2020年3月14日土15:00、3月15日日14:30
●会場:文京シビックホール 大ホール ●上演時間約2時間(休憩含む)
●チケット:S席1万1500円、A席8000円、B席5000円、S席ペア2万1500円、
A席ペア1万5000円、B席ペア9500円(ペア料金の対象は2階席のみ)
●問い合わせ:info@maki-ballet.jp

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