コンスタントに企画を生み出すコツとは?【角田陽一郎×加藤昌治】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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コンスタントに企画を生み出すコツとは?【角田陽一郎×加藤昌治】

「お悩み"あんちょこ"相談会 」第1回

 

■企画の良し悪しを自分だけで判断しない

 

角田:そうなると、この会場にも『考具』という加藤君のベストセラーが置いてありますけど、「リストアップの仕方にいい考具」ってあるんですか? 本の中に出てこなくてもいいけれど。

加藤:まず、「いいものだけをリストアップしない、出さない」ってことですね。

角田:おお、深い!

加藤:まずは全部書く。めんどくさいけど。

角田:そうか、いい悪いは判断しないで全部書くのね。加藤君、昔からそれやってるよね。凄く時間がかかるから、周りの友人達はめんどくさいんですよ。でも、確かにそれは大事だよね。

加藤:要は「価値判断を後にする」のが大事なんです。

角田:それはさっき僕が言ったテレビ欄の話と一緒だ。いい悪いは後にして、まずは全部見るの。

加藤:企画担当をされている方は、おそらく「ブレインストーミングの4つの原則」というものをご覧になったことがあると思います。あれの最初に「批判厳禁」って日本語で書いてあるんですけど、正確に言うとちょっと訳の間違いがある。本来は「批判してもいいけれど、後でね」ってことなんです。

角田:なるほど。最初に批判されたら引っ込めちゃうもんね。

加藤:それをデザインシンキングで有名な米IDEO社さんは「Defer Judgment」って云い換えているんですよ。deferって「後にする」とか「持ち越す」って意味ね。

 これが結構六つかしくて、自分が書いたりタイプしたりするものって、くだらないアイデアをタイプしてると悲しい気分になるので、その場で「ああ、これはいいや」って、捨てたくなっちゃう。でも「うおー、くだらねー!!」って云いながら打ち、「くだらねー〜つまんねー〜」と云いながらも、いっぱい書き出して、その後で「いいのあるかな?」って探す。

 そうやって作業のステップを変えるだけでも、意外にいいアイデアってあるんじゃないかな。

角田:うん、あるよ。つまり、その「つまらない」ってこと自体に、僕は面白くなっちゃう。

加藤:それもあるし、自分でネタを判断するのって結構怖いんだよ。自分が「面白いな」と思うものが会議ではスルーされたりとか、自分では「紙の無駄で、もうゴメンナサイ」って企画が滅茶苦茶ウケたりって、プロの世界でもあるよね。

 だから、自分ひとりだけで候補を出して、自分ひとりだけで選んじゃったものをその後で人に見せるのは、実は機会損失になっている。

角田:もったいない。

加藤:どうせ書くなら、恥ずかしいけれど全部書いて、皆で見て、いいのだけを選ぶ。その時には「ダメなアイデア」はなぜダメかを詰めなくてもいいよね。ダメなものも多いけれど、それには触れない。

角田:貶さないんだね。

加藤:いいのだけをピックアップすれば誰も傷つかないので、いいアイデアが意外にいっぱいあるかもね。

角田:「ネタ、結構あるじゃん」って思うだけで、担当者の方のプレッシャーも減りますよね。そうすると、面白い方向にどんどん回っていくかもね。

 

(構成:甲斐荘秀生)

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角田 陽一郎/加藤 昌治

かくた よういちろう かとう まさはる

角田 陽一郎(かくた・よういちろう)

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者 

千葉県出身。千葉県立千葉髙等学校、東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」「オトナの!」など主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社を設立(取締役 ~2013年)。2016年TBSを退社。映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出、「ACC CMフェスティバル」インタラクティブ部門審査員(2014、15年)、SBP高校生交流フェア審査員(2017年~)、その他多種多様なメディアビジネスをプロデュース。現在、東京大学大学院にて文化資源学を研究中。著書に『読書をプロデュース』『最速で身につく世界史』『最速で身につく日本史』『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか』『人生が変わるすごい地理』『運の技術』『出世のススメ』、小説『AP』他多数。週刊プレイボーイにて映画対談連載中、メルマガDIVERSE配信中。好きな音楽は、ムーンライダーズ、岡村靖幸、ガガガSP。好きな作家は、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、司馬遼太郎。好きな画家は、サルバドール・ダリ。

                                                             

加藤 昌治(かとう・まさはる)

作家/広告会社勤務

大阪府出身。千葉県立千葉髙等学校卒。1994年大手広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』(CCCメディアハウス、2003年)、『発想法の使い方』(日経文庫、2015年)、『チームで考える「アイデア会議」考具応用編』(CCCメディアハウス、2017年)、『アイデアはどこからやってくるのか 考具基礎編』(CCCメディアハウス、2017年)、ナビゲーターを務めた『アイデア・バイブル』(ダイヤモンド社、2012年)がある。           

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