コンスタントに企画を生み出すコツとは?【角田陽一郎×加藤昌治】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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コンスタントに企画を生み出すコツとは?【角田陽一郎×加藤昌治】

「お悩み"あんちょこ"相談会 」第1回

 

■商品の裏にある「ナラティブ」を見せる

 

加藤:メーカーの人にありがちなことは、商品の「完成形」を見せたいじゃないですか。けれどテレビってわりとメイキングやプロセスを画にするじゃん。その辺のやり口に関して何かありますか?

角田:質問者の方のメーカーの詳細がわからないから安直には(あんちょこ辞典だけに)言えないんだけど、本当はメーカーさんもプロセスを見せたほうがいいと思うんですよ。「この商品ができた時に、こんなところを苦労しました」ってことを、彼らは隠しがちだよね。

加藤:はいはい、分かります。

角田:できあがった商品のできあがった能力だけを語りがちなの。でも、それって『プロジェクトX』的な視点から言うと、もったいない。「こんなに苦労したから」ってところにこそストーリーがあるわけじゃんか。

 それで言う「苦労」って、べつに技術開発だけじゃなくて、「A部長とB部長が滅茶苦茶もめた」とか、実はそっちのほうが面白いじゃないですか。そういうことって、メーカーさんはまあ言わないけれど、でも本当は言えるようになったほうが、メーカーさんのプロダクツが売れることとコンテンツの面白さがくっつく。

 法律に違反するようなことじゃなかったら、もうちょっと開示したほうが面白くなるんじゃないかな、と思ってるな。

加藤:その意味では、この『仕事人生あんちょこ辞典』の「ルサンチマン」の項目に「ルサンチマンはエンドロールで解消される」って話が書いてあるじゃない。

角田:映画や番組の最後に、スタッフの名前がばーっと流れるやつですね。『仕事人生あんちょこ辞典』の最後にもエンドロールを設けています。

加藤:逆に言うと、「商品の○○ストーリー」みたいなものが語られる時、出てくる人が少ないなあと思ってるんです。

 例えば、そういう意味での「エンドロール」を一回作ってみて、それをじーっと眺めてみると、「あ、この人」ってネタが見つかるかも。主役・脇役に限らず人はいっぱいいるわけだからさ。

角田:なるほどね!ハリウッドのエンドロールって滅茶苦茶長いじゃん。あの名前の一人一人に「お前、どこに関わって、どこが苦労したの?」って毎回訊いていくだけで、1000回分くらいのレギュラー番組になるよね。

加藤:そうそう!結局商品のガワを見てる人が多いんだけど、実は商品の中身やプロセスについての話、つまり「ナラティブ」もある(『仕事人生あんちょこ辞典』「キャリアデザイン」の項目を参照)。だからネタは角田君が言うように世の中=外にもあるし、今話したように中にもある。それをリストアップしてみるだけでも、ネタに溢れて「うわー、週一って年に52回しかないっすね!」ってことになったり、「じゃあ毎週2つやります!」みたいになったりできるよね。

 

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角田陽一郎×加藤昌治の「お悩み“あんちょこ”ライブ相談会』

10月13日(水)20時〜 YouTube無料ライブ配信!!

 

『仕事人生あんちょこ辞典』の著者、バラエティプロデューサー角田陽一郎とベストセラー『考具』の加藤昌治がYouTubeで生配信!

■「あんちょこ相談会」無料ライブ配信視聴のURL

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角田 陽一郎/加藤 昌治

かくた よういちろう かとう まさはる

角田 陽一郎(かくた・よういちろう)

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者 

千葉県出身。千葉県立千葉髙等学校、東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」「オトナの!」など主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社を設立(取締役 ~2013年)。2016年TBSを退社。映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出、「ACC CMフェスティバル」インタラクティブ部門審査員(2014、15年)、SBP高校生交流フェア審査員(2017年~)、その他多種多様なメディアビジネスをプロデュース。現在、東京大学大学院にて文化資源学を研究中。著書に『読書をプロデュース』『最速で身につく世界史』『最速で身につく日本史』『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか』『人生が変わるすごい地理』『運の技術』『出世のススメ』、小説『AP』他多数。週刊プレイボーイにて映画対談連載中、メルマガDIVERSE配信中。好きな音楽は、ムーンライダーズ、岡村靖幸、ガガガSP。好きな作家は、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、司馬遼太郎。好きな画家は、サルバドール・ダリ。

                                                             

加藤 昌治(かとう・まさはる)

作家/広告会社勤務

大阪府出身。千葉県立千葉髙等学校卒。1994年大手広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』(CCCメディアハウス、2003年)、『発想法の使い方』(日経文庫、2015年)、『チームで考える「アイデア会議」考具応用編』(CCCメディアハウス、2017年)、『アイデアはどこからやってくるのか 考具基礎編』(CCCメディアハウス、2017年)、ナビゲーターを務めた『アイデア・バイブル』(ダイヤモンド社、2012年)がある。           

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