【野村克也夫妻の命を奪った心臓の病。決して「突然死」ではなかった、その理由とは】 | BEST T!MESコラム

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野村克也夫妻の命を奪った心臓の病。決して「突然死」ではなかった、その理由とは

心臓・血管の病気の専門医が明かす病の真実-①

■「プラーク」が血栓を作る

 私たちの血液中には、マクロファージと呼ばれる一種の白血球があります。マクロファージにはいくつか重要な役割があるのですが、血中のコレステロールを「食べる」のもその一つです。

 ところが、あまりにも血中にコレステロールが多いとコレステロールを食べすぎて死んでしまったマクロファージの死がいが血管の壁に溜まっていき、血管内に「プラーク」と呼ばれるゴミが作られてしまいます。

 歯に溜まる歯垢をプラークと呼びますが、似たようなものだと考えてください。要するに、血管内にゴミが溜まってしまうのです。

 ただし、プラークが直接に血管を詰まらせ、臓器にダメージを与える梗塞を引き起こすわけではありません。

 このプラークは膜のようなもので包まれているのですが、その膜が柔らかく不安定だと、何かの拍子に破けることがあります。すると、血液内で血液を固める役割を担っている血小板が「あ、ケガをしてしまったな」と勘違いし、血管内にカサブタのようなものを作るのです。これが危険な血栓です。

 血栓は、血栓が作られた場所でカサブタとなって血管を詰まらせることもあるのですが、剥がれて血管の内部を漂い、脳や心臓の重要な血管を詰まらせてしまうこともあります。それが脳梗塞や心筋梗塞です。

血栓ができるまで

 

■プラークが作られるのを防ぐには?

 心血管疾患はたくさんあり、それぞれメカニズムも異なりますが、命に係わる事態を引き起こす原因の多くは血栓です。ならば、血栓に繋がるプラークが溜まることを防ぎさえすれば、少なくとも心血管疾患で命を落とすリスクは非常に低くなります。

 そして、プラークが溜まることを防ぐ方法が、私の言う「余裕のある心臓としなやかな血管」を作ることなのです。

 プラークが溜まり、血栓が作られやすい状態を引き起こす要因として

・高血圧

・高血糖(または糖尿病)

・高コレステロール

・喫煙

・肥満

 などがあることはわかっています。「心血管疾患は慢性病である」のはこのためです。ここに挙げたような状態や習慣がずっと続くと血管内にプラークが溜まり、血栓ができやすくなるということです。したがって、心血管疾患の心配がある方は、こういった状態や習慣をできるだけ避けてください。

 次回は、慢性病であるがゆえに心臓病には3つの「やすい」がある、というお話をしましょう。

KEYWORDS:

心臓・血管の病気にならない本

著者:山下武志

 

日本人の半数は心血管疾患で亡くなっている!

血液を綺麗にし、心臓を鍛えて、健康に長生きする方法とは?

日本人の死因2位・3位を占める心疾患と脳血管疾患は、両者を足すと死因1位のガンに匹敵します。また日本人の9割は不整脈を患っているともいわれています。

しかし、心臓や血管の病気はガンとは異なりメディアの注目度は低く、一般の人々の知識は驚くほど不正確です。著者はかねてよりその状況を憂い、正しい知識の普及に務めてきました。「心臓と血管の病気は慢性病」「年間2万人が命を落とす危険な不整脈=心室細動」など、「長生きして健康でいる」ために欠かせない、おだやかな血液と余裕のある心臓を作る習慣を伝授します。

著者は日本一の「不整脈」の名医と言われ、これまでテレビ『NHK健康チャンネル』や『世界一受けたい授業』など多数のメディアに出演しています。

※2017年度・厚生労働省調べ

目次

第1章 心臓・血管の病気は怖くない

第2章 心臓・血管の病気はこうして起こる

第3章 誰も知らない不整脈の真実

第4章 余裕のある心臓とおだやかな血液を手に入れる

第5章 心臓・血管の治療を成功させる

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山下 武志

やました たけし

心臓血管研究所・所長。日本循環器学会(循環器専門医、関東甲信越地方会評議員)、日本心臓病学会(特別正会員)、日本内科学会(認定内科医、指導医)、日本不整脈心電学会(不整脈専門医、理事)、Circulation Journal編集委員。1961年生まれ。1986年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科、特に不整脈。日本循環器学会認定循環器専門医、日本心臓病学会特別正会員、日本内科学会認定内科医・指導医、日本不整脈心電学会理事。『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)などTV出演多数。


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  • 山下武志
  • 2020.02.27