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「GHQ」に洗脳されている日本人とは?

インタビュー / 『GHQが洗脳できなかった日本人の「心」』 著者・山村明義

Q4. 日本のマスメディアは、未だ「GHQの洗脳」が解けていないように見受けられるのですが、これらマスメディアは今後どのように変わっていくと思われますか?

山村 昭和20年9月に、GHQは「プレスコード」というものを日本側に出しました。とりわけNHKや朝日新聞といった、当時の代表的なメディアには特に厳しく要求しています。

日本が軍国化しないように、あるいは超国家主義に走らないように強く指導していったわけです。

そういうGHQの考え方が、日本の各メディアを媒介して国民に伝えられました。そのため、日本人は未だGHQの洗脳から解き放たれていないというところがあります。

象徴的だったのは、昨年12月の日韓合意でも話題になった「慰安婦問題」です。慰安婦問題では「韓国の言い分を聞かなければいけない」という考え方がメディアによって日本の国民に伝えられ、韓国側の言い分をまるですべて聞かなければいけないような風潮を日本国内に作り上げました。

GHQの洗脳から解き放たれていない日本人がまだ多数存在するのは、片寄った報道で国民をミスリードしてきた日本のマスメディアの責任です。彼らが戦後70年やってきたことの重大性は非常に大きいと私は思っています。
戦後、「ラジオコード」と「プレスコード」という2種類の指令によってメディアは封じ込められました。ラジオコードは、テレビ・ラジオ用。プレスコードは、出版・新聞用です。
この、いわゆる「マッカーサー指令」により、戦後の日本のマスメディアは自分たちの考えもまともに言えないようになりました。

メディアはとにかく「権力を批判していればいい」ということになったのですね。言い換えれば、マッカーサー指令によって日本のマスメディアは「国家を弱体化させる」存在に構造的に変えられてしまったのです。

プレスコード自体はもうないのですが、「権力批判をやるのがマスメディア」だと思っているジャーナリストは、残念ながらまだまだ多いですね。

ただ一方で、日本の良さを見直す動きも見られるようにはなってきています。例えば、伊勢の神宮の「式年遷宮」をテレビで放映したり、あるいは日本文化に対する価値や日本文化の良いところを取り上げて報道するメディアもけっこう増えてきました。

これからのマスメディアは、日本の悪いところばかりでなく良いところも報道していかないと、視聴者(国民)に受け入れられなくなるのではないでしょうか。今は、まさにそういった転換点に来ているのではないかと思います。

Q5 現在の日本の歴史教育についてはどう思われますか? 海外で行われている歴史教育との比較でお話しいただけますか?

山村 占領期には「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」というのがありました。これはアメリカ国家からの日本への命令ですね。

そのなかには「日本の歴史教育を変える」という大方針がありました。
日本史を戦後の新しい価値観として教えようとか、あるいは国語のなかには古いもの(例えば神話や古事記、日本書紀のような書物)をできるだけ入れないようにするというものです。
そういう歴史教育が長年にわたって行われたことによって、日本人はだんだん「古いものは悪いことで、新しいことだけが(特に欧米から取り入れたものだけが)良いこと」だと勘違いしてしまったところがあると思うんです。

海外で行われている「日本の歴史」教育には、酷いものがあります。
本書にも書きましたが、例えばアメリカのマグロウヒル社という教科書会社の歴史教科書には、「日本軍は20万人の女を強制的に徴用して慰安婦にした」、それが「天皇陛下からの贈り物だった」とか、「慰安婦が逃げようとしたら日本兵に殺された」と書かれているんですよ。

これは言うまでもなく「完全なフィクション」ですが、米国歴史学会によれば、これらの記述は「日本人(朝日新聞や歴史学者・吉見義明中央大学教授など)の記述によって明らかにされているから正しい」というわけです。

この例でわかるように、日本で行われている歴史教育や歴史報道が、海外の国々にも誤解と偏見を与えてしまっているという、歪な状況を作っているのです。

Q6 「戦後日本システム」を脱却して、「ポストGHQシステム」を作りあげていくなかで、大事な要素は何だとお考えですか?

山村 これについては「ヘキサゴン型システム」ということで、本書のなかでも取り上げています。
ヘキサゴンといのは「六角形」のことです。私はGHQの資料を何万点も閲覧しているうちに、政治・行政、教育界・労働界、それにマスコミなど、日本を取り囲むシステムには、日本の良いところを封じるシステムがあるということに気付きました。
GHQが昭和20年から27年の3月までの占領下で使った「日本を支配する力」を、占領が解かれた後も、そのままの形で運用していったのです。
それは、中心に「象徴天皇」を置いて、周りを「憲法(法曹界・司法界)」「政治・行政」「教育・労働」「軍事・外交」「宗教界、文化人」そして「マスコミ」で囲むという「自縄自縛のシステム」です。これが大きな問題なのです。なによりもこのシステムを早く変えなければいけません。

この「ヘキサゴン型システム」をどうすればいいのかということは、この本のまさに核心の部分です。

「良いところを活かす」「日本の持ち味、長所・特色を活かす」やり方を、本書では特に詳細に書いています。

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山村 明義

やまむら あきよし

作家、ジャーナリスト、神道史家

作家、ジャーナリスト、神道史家。昭和35(1960)年、熊本県生まれ。早稲田大学卒業後、金融情報誌など出版社勤務を経て平成2年に独立。 代表的な著書には、『神道と日本人』(新潮社)、『GHQの日本洗脳』(光文社)などがある。

 戦後のGHQによる日本占領史研究は、約30年前から日米両国で文献収集とオーラル・ヒストリーの取材・調査を行ってきたが、 最近では日本人が目指すべき「ポストGHQ体制」に強い関心を持ち、特に日本古来の伝統文化の継承を日本と世界に幅広く訴えかけてゆきたいと考えている。


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  • 2016.02.26