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保護柴たちの未来を考える(後編)─そこに運命の出会いはあるのか─

もしあなたが「保護犬」を迎えようと考えているなら

■その子の老後まで考えてほしい

 犬の寿命も近年のびてきている。これは保護犬に限ったことではないが、「犬が老いて病気になったり、寝たきりになっても、最後まで責任をもって飼えるのか」をよく考えて欲しいと犬丸さんは言う。

「犬を1頭飼うと一生で最低でも『軽自動車1台分くらいのお金がかかる』と言われています。飼い方によってはそれ以上かかるでしょう。
 年齢を重ねてくると大変さも増すことが多いです。年老いて認知症になり昼夜逆転して夜中鳴き続けることもあります。不慮の事故で半身不随になることもあります。私が昔飼っていた柴系の雑種は、11歳の時に椅子から落ちて首から下が動かなくなりました。柴らしく頑固な気質だったのでその現実をなかなか受け入れられず、2週間、昼も夜も泣き叫びました。幸運にもいいお医者様にめぐり合えて、体も徐々に回復し、その後一年半生きてくれましたが、ほとんどの病院では安楽死を薦められて、つらい思いをしました。なにがあっても最後まで責任を持てるのか、よく考えてから家族に迎えて欲しいと思います」

 いっときの気分でなく、動物を飼うことの責任の重さを、必ず考えて欲しい。
 

■「飼う」以外の選択肢もある

 いろいろ考えた結果、「保護犬はなんとかしてあげたいけど、自分には飼えそうにない」となったら、それはそれで正しい答えだ。「飼わない」という動物愛護もある

「動物たちのためにできることはいろいろあります。保護団体に募金するとか、ボランティア団体さんのお手伝いをするとか。犬たちを取り巻く現状を勉強して、保護犬を減らすために、いち愛犬家にできることを伝えていくことだけでもいいと思います」

 これから犬を迎える方が保護犬を迎えたり、良心的なブリーダーさんから迎えること、軽はずみに動物を飼わなくなることで、売上が伸びなくなったペットショップや悪徳ブリーダーはいずれ自然淘汰されていくはず。いち愛犬家の小さな変化の一歩が、いつか世間の流れを変える大きな一歩になると思うと犬丸さんは言う。

「保護犬たちは、今を受け入れ、順応し、前を向いて生きているとてもいい子たちで、何度も言いますが、かわいそうなだけの存在ではありません。“かわいそう”という人間の眼鏡をはずして向き合ってほしいと思います」

 保護犬を飼うのがちょっとしたブームになっているが、生きものを飼うというのはそんなに簡単なことではない。保護犬であろうと、ショップやブリーダーから迎える犬であろうと、「この犬と暮らしたい」と心から思える犬にめぐり逢えたら迎える、というのがベストではないだろうか。

 犬を無理なく飼える状況の人が、犬を探すときの選択肢のひとつに「保護犬」を加える。ぜひそんな自然なスタンスで、運命の出会いを果たして欲しい。 

 

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小西 秀司

こにし しゅうじ

作家・デザイナー・編集者

出版社での雑誌編集を経て、4年以上にもおよぶアジア放浪の旅へ。帰国後はフリーのエディトリアルデザイナーとして活躍しながらフレンチブルドッグ専門誌「BUHI」(オークラ出版)を創刊、現在も編集長を務める。犬に対する圧倒的な愛情、柔らかな感性が多くの犬好きの共感を呼び、ワークショップの開催やラジオ出演など多方面で活躍中。『柴犬ライフ』統括編集。

主な著書は「動物たちのお医者さん」(小学館)、「きみとさいごまで」(オークラ出版)「どうして こんなにも 犬たちは」(三交社)など。

 

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