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東出昌大・杏を別居させた逸材、唐田えりかの「文化」的魔力を守れ!

唐田えりかは時の人となったが、ピンチを迎えている…

 ところで、今回の不倫騒動から思い出されるのが、真田広之と葉月里緒菜、桜井和寿と吉野美佳といったケースである。こちらも仕事で成功した男が、幼い子供がいながら若い愛人に走り、妻とは離婚という構図だ。

 ただ、葉月は「好きな人に奥さんがいてもいいじゃないですか」とまで言い切ったが、最後は破局。吉野は新たな妻となることができ、子供も産んだ。そこで、東出の相手が唐田だとわかったとき、葉月以来の「魔性」の大物誕生か、とか、吉野みたいなかたちに収まるのかな、とか、いろいろ想像してみたものだ。

 ところが今回、そういう見方をする人は少数派のようだ。不倫を犯罪みたいにとらえ、やたらと怒ったり、杏を可哀そうがっている声が目立つのである。なかにはもちろん、

「こんなにあかんことやったっけね、不倫って」(岡村隆史)「唐田さんを袋叩きにしてよいのは杏さんだけ」(立川志らく)「俳優さんというものがそこまで身を律して、とにかく妻としかセックスはしてはいけないというスタンダードを私達は置きたいんですか?」(三浦瑠麗)

 といった冷静なコメントも出ているものの、それが話題になるくらい、珍しい立場のようだ。

 しかし、当たり前のことながら、恋愛は善悪で論じられるものではない。そもそも、基本的に当事者だけの問題だ。それでいて、昔から不倫にはエンタメもしくはポルノとしての要素があり、それゆえに野次馬が盛り上がるわけだが、誰かを叩いたり、同情したりするだけでは、愉しみ方としてあまりに狭く浅いというほかない。

 そこには結局、他人の自由、すなわち、自分が守っているルールを破っている人が許せないという感覚も潜んでいたりするのだろう。しかし、破る人はそれをルールとは思っていないのかもしれず、しかも、そういう人が繰り広げる人生のほうが見ていて面白かったりするのだ。

 だからこそ、かつて石田純一が発した「不倫は文化」という言葉も意味を持ってくる。あれは、不倫のような忍ぶ恋から芸術や芸能が生まれたりもするという趣旨だった。今回も、怒っているのは文化的レベルの低い人たちなのだろう。いや、別のもっと健全な文化が好きなだけということなら、ただの趣味の違いだから、不倫という文化を貶めないでほしいものだ。

 ちなみに、唐田の魅力についてはすでに触れたが、東出には台詞回しの弱点が指摘される反面、そこにいるだけで不気味さをかもしだせる存在感を推す声もあり、その表現力は今後ますます深まりそうだ。また、杏にはこれから不幸な役も似合うようになるだろう。

 要は三人三様に、この出来事を活かしていけばいいだけのこと。それが唐田や東出に対し、ダメということになるようでは、芸能はおしまいだ。試されているのは芸能人のモラルではなく、芸能を愛でるうえでの文化のレベルなのである。

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『痩せ姫 生きづらさの果てに』
エフ=宝泉薫  (著)

 

女性が「細さ」にこだわる本当の理由とは?

人類の進化のスピードより、ずっと速く進んでしまう時代に命がけで追いすがる「未来のイヴ」たちの記憶
————中野信子(脳科学者・医学博士)推薦

瘦せることがすべて、そんな生き方もあっていい。居場所なき少数派のためのサンクチュアリがここにある。
健康至上主義的現代の奇書にして、食と性が大混乱をきたした新たな時代のバイブル。

摂食障害。この病気はときに「緩慢なる自殺」だともいわれます。それはたしかに、ひとつの傾向を言い当てているでしょう。食事を制限したり、排出したりして、どんどん瘦せていく、あるいは、瘦せすぎで居続けようとする場合はもとより、たとえ瘦せていなくても、嘔吐や下剤への依存がひどい場合などは、自ら死に近づこうとしているように見えてもおかしくはありません。しかし、こんな見方もできます。

瘦せ姫は「死なない」ために、病んでいるのではないかと。今すぐにでも死んでしまいたいほど、つらい状況のなかで、なんとか生き延びるために「瘦せること」を選んでいる、というところもあると思うのです。
(「まえがき」より)

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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痩せ姫 生きづらさの果てに
  • エフ=宝泉薫
  • 2016.08.26