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欧米のMMT論者は歴史認識問題にこだわる!

令和の真相?

◆政治主権・通貨主権・経済主権

 MMTは貨幣に関する理論ですが、同時に政府に関する理論でもあります。政府が(インフレ率によって制約されないかぎり)カネをいくらでも使えるのは、政府に通貨発行権があるからにほかなりません。

 

 ではなぜ、政府に通貨発行権があるのか。政府は主権を持っているからです。政治的な主権が、通貨発行権を支えるのです。

 他方、自国の通貨について、固定レートによる外国通貨や金(きん)などへの交換を保証しないことを「通貨主権」と呼びます。保証しなくても通貨の信用が保たれることが条件ですが、MMTは「通貨主権が確立されていれば、デフレ時の政府支出に制約はない」と述べていることになるでしょう。

(※)「通貨主権」は「通貨発行権」と同じ意味で用いられる場合もありますが、ここでは上記のように区別して用います。

 

 デフレの際、政府が支出を増やして景気を刺激することは、国が繁栄を続けるうえで大いに貢献します。そして繁栄している国では、政治も安定しやすい。

 言い替えればMMTは、次のサイクルを提起しているのです。

 

1)政治主権は通貨発行権をもたらす。

2)国がある程度発展した段階で、通貨発行権は通貨主権に成熟する(※)。

3)通貨主権を持っていれば、繁栄の維持がそれだけ容易になる。

4)繁栄する国の政治は安定しやすいので、政治主権も強化される。

(※)途上国はしばしば通貨主権を持てません。自国通貨を、ドルのような主要通貨と固定レートでリンクさせないかぎり、暴落の恐れありとして、外国から設備や技術を導入(つまり輸入)できないせいです。

 

 通貨主権に基づいて、積極的な財政政策を取ることを、「経済主権」と呼んでも良いでしょう。この場合、MMTは「通貨主権を媒介として、政治主権と経済主権を連携させる国こそ、繁栄を維持する」と説いていることになります。

 論より証拠、MMTの代表的解説書であるL・ランダル・レイの『MMT 現代貨幣理論入門』の原著には、「A PRIMER ON MACROECONOMICS FOR SOVEREIGN MONETARY SYSTEMS」という副題がついていました。

 訳せば「主権に支えられた通貨システムのためのマクロ経済学入門」。

 MMTは貨幣のみならず、主権の概念とも切り離せないのです。

 

 さて、わが国はむろん通貨主権を持っている。

 よって経済主権を行使する条件も整っています。

 ところが過去二十年あまり、政府は財政健全化にこだわり、経済主権を行使してきませんでした。デフレ不況が長引き、国民の貧困化が進んだ主要な原因もここにあるのです。

 

 ならば日本復活の道筋は明々白々。

 政治主権と通貨主権をともに持っているのだから、経済主権を積極的に行使し、繁栄を取り戻せばよろしい!

 そう、そのはずなのですが・・・

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佐藤 健志

1966年東京都生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒。1989年、戯曲「ブロークン・ジャパニーズ」で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞受賞。

主著に『右の売国、左の亡国』『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』『僕たちは戦後史を知らない』『夢見られた近代』『バラバラ殺人の文明論』『震災ゴジラ! 』『本格保守宣言』『チングー・韓国の友人』など。

共著に『国家のツジツマ』『対論「炎上」日本のメカニズム』、訳書に『〈新訳〉フランス革命の省察』、『コモン・センス完全版』がある。

ラジオのコメンテーターはじめ、各種メディアでも活躍。2009年~2011年の「Soundtrax INTERZONE」(インターFM)では、構成・選曲・DJの三役を務めた。


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