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欧米のMMT論者は歴史認識問題にこだわる!

令和の真相?

◆MMTのジブリ式テーゼ

ステファニー・ケルトン教授

 2019年の日本で話題となったMMT(現代貨幣理論)ですが、カヘイリロンという堅苦しい名称とは裏腹に、本質は難しいものではありません。

 それどころか、経済学者ならぬ経営者は、MMTが体系的に理論化される前から、この発想に基づいて行動し、企業を発展させてきたのです。

 

 というわけで、前号記事「超奇跡! MMTはジブリで分かる!」では、スタジオジブリの生みの親である徳間康快さん(とくま・やすよし。徳間書店社長、故人)が、同スタジオの新社屋建設にあたって語った言葉を取り上げ、それがいかにMMTを体現しているかをお話ししました。

 

 MMTの要点をあらためて整理すれば以下の通り。

 

1)カネ(貨幣)とは、紙幣や硬貨といった物理的な形を取ることもあるが、本来は貸し借りを記録した数字にすぎない。「キャッシュレス」なる表現が示すとおり、「キャッシュ」(物理的な形を取った貨幣、つまり現金)と「マネー」は違うのだ。

2)したがってカネは、しかるべき帳簿に数字を記載するだけで生まれる。現在ではコンピュータのキーボードで入力するため、これを「キーストローク」(キー叩き)と呼ぶ。

3)ただし、返済の見込みがない相手にカネを融資する者はいない。ゆえにキーストロークでカネを生み出せるとは言っても、実際にどれくらいのカネが生まれるかは借り手の返済能力次第となる。

4)しかるに政府は通貨発行権を持っている。そのため自国通貨で負債を抱え込むかぎり、政府の返済能力に制約はない。返済用のカネをみずから生み出せるのだから、あとはキーを叩けば良いのである。

(※)もっとも為替レートが固定されていると、自国通貨で負債を抱えても、他国通貨で抱えたのと実質的に同じになる。財政、ないし経済がどんな状態であろうと、自国通貨の下落が起こらず、決まったレートで他の通貨に交換しなければならないためである。よってこの条件は、変動為替相場制を採用していることを含む。

5)ゆえに政府はいくらでも財政支出を増やして、景気を刺激することができる。けれども当の支出によって喚起される需要が、財やサービスに関する自国経済の供給能力をあまりに上回ると、物価がどんどん上がってしまう。

6)よってインフレ率が、財政政策の制約となる。しかしデフレのときは、もともと需要が供給を下回っているのだから、この制約を気にする必要はない。

 

 徳間康快さんの言葉にならって、上記六項目をひとことで要約すればこうなります。

 

【カネは政府がいくらでも使える。どの国も重いものを背負って生きてゆくが、デフレのときはそれが重くなくなるもんだ】

 

 これを「MMTのジブリ式テーゼ」と呼ぶことにしましょう。

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佐藤 健志

1966年東京都生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒。1989年、戯曲「ブロークン・ジャパニーズ」で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞受賞。

主著に『右の売国、左の亡国』『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』『僕たちは戦後史を知らない』『夢見られた近代』『バラバラ殺人の文明論』『震災ゴジラ! 』『本格保守宣言』『チングー・韓国の友人』など。

共著に『国家のツジツマ』『対論「炎上」日本のメカニズム』、訳書に『〈新訳〉フランス革命の省察』、『コモン・センス完全版』がある。

ラジオのコメンテーターはじめ、各種メディアでも活躍。2009年~2011年の「Soundtrax INTERZONE」(インターFM)では、構成・選曲・DJの三役を務めた。


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