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「教員は早く帰りなさい」というだけのお粗末な指針

【第7回】学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

■残業時間を減らす施策はどこに?

 12月4日に給特法の一部を改正する法律が成立した。この柱のひとつだったのが、1月に文科省が策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を法的根拠のある「指針」に格上げすることだった。

 教員の在校時間について、1カ月の残業(超過勤務)を45時間以内とし、1年間では360時間以内とする上限を設けるというものだ。これは一見すると「残業が減って早く帰れるようになる」とも解釈されそうだが、ガイドラインを設ける趣旨について文科省は、次のように説明している。

「教師の業務負担の軽減を図り、限られた時間の中で、教師の専門性を生かしつつ、授業改善のための時間や児童生徒に接する時間を十分確保し、教師が我が国の学校教育の蓄積と向かい合って自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、教師の人間性や創造性を高め、児童生徒に対して効果的な教育活動を持続的に行うことをできる状況を作り出す」

 これを実現するならば、「業務負担の軽減」こそ優先すべきであり、それを実行すれば必然的に残業は減ることになる。しかし、「業務の明確化・適正化、必要な環境整備等、教師の長時間勤務是正に向けた取組を着実に実施していくことにする」とガイドラインでは謳っているものの、業務の明確化・適正化などについて具体的な施策を示しているわけではない

 具体的な施策は、「早く帰れ」だけなのだ。

 それだけで業務の明確化・適正化がすすめば、苦労はない。それとも、上限は決めてやったのだから、それを守るための業務の明確化・適正化などの具体策は教員自身で工夫しろ、ということなのだろうか。しかし、それならば上限規制など設ける必要性はないはずだ。そんな上限規制をガイドラインから指針に格上げしたところで、教員の働き方が改善されるとは思えない。

 そのためか、上限規制に対して教員はあまり関心を持っていないようだ。

「このガイドラインを充分に知っているかというと、そうではありません。月に45時間という上限については、おおよその教員が知っているとは思いますが、特に関心を持っているわけではありません」

 これは、ある公立中学の男性教員の言葉である。彼は、「業務内容は変わらないのに残業はダメでは、学級担任は仕事がまわりません」と続けた。そして、「業務内容をよく知らないなら、余計な口を挟まないでほしいというのが率直な気持ちです」と、厳しい口調で言ったのだ。

 

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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