【特別養子縁組のあっせん団体をつくったのは、自分自身の経験があってのこと】 | BEST T!MESコラム

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特別養子縁組のあっせん団体をつくったのは、自分自身の経験があってのこと

養子縁組NPOスタッフの日常

 私がどのような理念のもとでNPOを立ち上げ、運営しているか、また一緒に活動してくれているスタッフたちがどのような想いで業務に取り組んでいるかをご紹介します。子どもの命と家族の生活に向き合う日常を感じ取っていただけたら幸いです。

 

 私が特別養子縁組のあっせん団体をつくったのは、自分自身の経験があってのことでした。

 子どもを望みながらも不妊に苦しみ、さらに養子を望んでもずっと待たされてしまう。直接この経験をした私は、自分の後に続く人たちが同じような思いをしないように、そして子どもたちの幸せのためにと、強い決意でこの仕事に挑んできました。

 私たちの活動は、「インターネット赤ちゃんポスト(活動休止中)」という、里親希望者と養子に出したい実親を結ぶマッチングサイトの運営から始まりました。「インターネット赤ちゃんポスト」に登録した里親希望者は、実親が登録した赤ちゃんの情報を閲覧することができます。もちろんインターネット上だけで完結するわけではなく、その後独自のスコアリングシステムや面談、家庭訪問などの末に里親を決める、という流れのマッチングシステムです。

 その後「NPO法人 全国おやこ福祉支援センター」として大阪市の認証を得た私たちは、「子どもの幸せを守ることを第一の理念とし、予期せぬ、望まぬ妊娠、又は出産前後やむを得ない事由により子どもの養育が困難な親にしかるべき支援を行い、子どもの健全な育成を図るために養子縁組制度を活用し、子どもの人権を擁護すると共に、福祉の増進を図ることを目的とする」

 という理念のもとで、非営利法人として活動してきました。設立からこれまでの歩みを記します。

 

平成26年4月

前身の「インターネット赤ちゃんポスト」が事業開始。

平成26年5月 

第二種社会福祉事業の届出。

平成27年10月

「NPO法人 全国おやこ福祉支援センター」に組織変更。

平成28年4月

「インターネット赤ちゃんポスト」の運用開始。

無料妊娠相談の受け付け開始。

「赤ちゃんマッチング支援アプリ・コウノトリ」β版リリース。

 養親希望者からの相談の受け付け開始。

平成28年10月

「コウノトリ」の本格的運用開始。

平成29年10月

「NPO法人 日本おやこ福祉支援センター」として大阪市より認証取得。

平成29年11月

「日本おやこ福祉支援機構株式会社」設立。

大阪市阿倍野区に事務所移転。

事務所ビル内に「なわしろ保育園」開設。

平成30年1月

スマートフォンアプリ「妊娠SOS」運用開始。

「妊娠SOS」iPhone版運用開始。

「妊娠SOS」LINE版運用開始。

支部パートナー制度運用開始。

平成30年10月

書籍「産んでくれたら200万円 ―特別養子縁組の真実―」刊行。

 

 この約5年の月日の間に、最も意識して進めたのは業務の効率化でした。自身の経験から、「成立に極めて長い時間を要する」ことが養子縁組における大きな課題だと感じていたので、いかにやりとりを効率化できるか、工夫を重ねてきたのです。もちろん、養子縁組は小さな命とそのまわりの多くの人の人生を左右する事柄ですから、慎重を期すべきところは十分に期しての上での効率化だったことは言うまでもありません。

 たとえば、相談者と身近に連絡を取れるようにするために、改善できる点が多くありました。実親からの相談は主にLINEで受けました。日本全国に点在するスタッフ間の連絡・会議も、主としてLINEを用いて行っていました。

 また、相談者の利便性を第一に考え、窓口をできるだけ多く作りたいという考えのもと、i Phone版、Android版両方のアプリを作成・リリースしました。

 

 国からの補助金がない以上、規模の拡大には限界がありました。そこで、その打開策として新たに「支部パートナー制」を導入しました。これは、本部に所属する支部パートナーが全国各地に点在することで、相談してくる実母への速やかな直接対応を可能にするものです。支部パートナーが現地で実親との面談を行い、本部と連携することで、実親との物理的、また心理的な距離を縮めることに大きな役割を果たしてくれました。

KEYWORDS:

『インターネット赤ちゃんポストが日本を救う』

著者:阪口 源太(著)えらいてんちょう(著)にしかわたく(イラスト)

 

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親の虐待や育児放棄を理由に国で擁護している約4万5000人の児童のうち、現在約7割が児童養護施設で暮らしています。国連の指針によると児童の成育には家庭が不可欠であり、欧米では児童養護施設への入所よりも養子縁組が主流を占めています。

本書ではNPOとしてインターネット赤ちゃんポストを運営し、子どもの幸せを第一に考えた養子縁組を支援してきた著者が国の制度である特別養子縁組を解説。実親との親子関係を解消し、養親の元で新たな成育環境を獲得することができる特別養子縁組の有効性を、マンガと文章のミックスで検証していきます。

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阪口 源太

さかぐち げんた

NPO法人全国おやこ福祉支援センター代表理事

1976年福井県生まれ。NPO法人全国おやこ福祉支援センター代表理事。自ら創業したIT会社を売却後、東日本大震災をきっかけに社会起業家に転身し、NPOを設立。大阪を拠点として、特別養子縁組のサポートに携わる。著書に「産んでくれたら200万円 -特別養子縁組の真実-」(Kindle版)がある。


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  • たく, にしかわ
  • 2019.08.02