日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信幸男さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。

 11月23日は、勤労感謝の日である。「勤労を尊び、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう」ことを趣旨とした祝日である。日本では古くから勤労を祝う儀式があり、皇室では飛鳥時代から新嘗祭が行われている。また、一般的にも昔から五穀豊穣を願う習慣があり、その文化が今でも続いている。

 名字の中には、職業から生まれたものが数多くある。古代の官職から生まれたものでは、犬飼(いぬかい)、鵜飼(うかい)、鳥飼(とりかい)、服部(はっとり)、錦織(にしこり・にしこうり・にしきおり)、刑部(おさかべ)、占部(うらべ)、財部(たからべ)、土師(はじ)、玉造(たまつくり)、矢作(やはぎ)、郡司(ぐんじ)、庄司(しょうじ)などである。

 古代の官職の一つに「部」と呼ばれるものがあり、「鵜飼」や「錦織」、「土師」なども「鵜飼部」、「錦織部」、「土師部」と呼ばれていたが、名字では「部」は省かれた。ちなみに「服部」は本来は「服織部」を指しており、「織」を省略している。

 現代の職業を表す名字では、先生(せんじょう)、保母(ほぼ)、首長(しなが)、大工(だいく)、農業(のうぎょう)、神主(こうぬし)、祢宜(ねぎ)などがある。

 また、職業に関連した名字としては日当(ひあて)、手当(てあて)、手取(てどり)、出張(ではり)、駄賃場(だちんば)などがある。実は、そのまま働(はたらき)という名字も存在する。農業という言葉は比較的現代寄りの言葉に思えるが、案外昔から存在し名字にもなっていることに驚く。