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『同期のサクラ』 ~じわっと涙があふれてくる理由を誰か教えて欲しい~

今宵、どんなドラマを描こう 第3回

■未来をさまよう若者の答えはじいちゃんの中に

 真っ直ぐすぎてしまうサクラを支えているのは、また涙腺が緩むポイントの“同期”である。同期とは特別な存在で、学生時代の馴れ合いも家庭環境も、文化も違う。未来永劫、ライバルであり、仲間。そして愛おしい人たち。

「一生、信じ合える仲間を作ることです」

 入社時にサクラが掲げていた夢のひとつだ。この仲間となった4名が、仕事に悩み、恋愛にほだされる様子が楽しい。いや、自分の社会人デビューの頃と照らし合わせて懐かしくなってしまう。そしていつの間にか応援している。

 出会った当初は言いたいこと……いや、本当は言うべきことをズバズバと発言していくサクラに辟易する4人。時間が経つに連れて、真っすぐさに惹かれ、本音を口にしていく。ああ、だから第一話で4人が

「通行の邪魔なんで人のいないところでやってもらえますか?」(百合)

「みんな仲間なんだし、写真を撮りませんか?」(菊夫)

「まずいです、ひじょ〜にまずい」(蓮太郎)

「私には夢があります!」(葵)

 とサクラの口癖を言っていたのか。これがこの子たちの友情なんだろうなと思う、一話完結のエンディング。そこで絶妙なタイミングで流れてくる、森山直太朗の『さくら(二〇一九)』が、より涙を誘う。

 そして涙の最終兵器は“じいちゃんからサクラに届く格言”である。耳が悪いことを理由に毎日、FAXでやりとりを続ける二人。サクラの性格の原点、ここにありと思わせるほど、心撃つ言葉が流れてくる。

『自分の弱さを認めることだ』

『勝ちより価値だ』

『辛い時こそ、自分の長所を見失うな』

 これ名言集にして出版した方がいいと思う。どんな生き方がいいのか、人は一生迷う。立ち止まったときに、振り返って何かがあるのならこんな言葉に寄り添いたくなる。そういう涙腺崩壊ポイントが詰まったドラマなのだ。子供からお父さんたちまで、何か胸に伝わるものがどこかに潜んでいる。

 

 ちなみに私は第六話で公開された

『人生で一番辛いのは自分にウソをつくことだ』

 に、感化された。なので、今夜も飲みに行こうと思う。自分に嘘を付いてはいけないのだ。

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小林 久乃

こばやしひさの

ライター/編集者/クリエイティブディレクター/撮影コーディネーター

地元タウン誌から始まり、女性誌、情報誌の編集部員を経てフリーランスへ。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事も持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には10万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。著書『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)が好評発売中  

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結婚してもしなくてもうるわしきかな人生
  • 小林 久乃
  • 2019.11.30