相続や地主とのトラブルなど、放置空き家の理由はさまざま

錆付いたトタン外壁が老朽化を窺わせる。細い路地にあるため、撤去が難しくコストもかかる。

 

 国道を渡ると、さっそく細い路地。古い木造家屋が軒を連ねる。人の気配が感じられないトタン外壁の家の前に立つと、向かいの家からオジサンが「そこは誰も住んでいないよ!」と、声をかけてくる。 「5年くらい前に、ひとり暮らしのおばあさんが亡くなったんだけど、区役所が身内に連絡を取ってもなしのつぶて。そのまま放置されているんだよ。細い路地に建っているから撤去も難しいし、できたとしてもカネがかかる。そもそも無接道による再建築不可の土地なので、結局そんなもの相続したくないということになるんだよね」

 
ガスメーターのゼロの表示が、空き家であることを示している。

 さらに歩を進めると、普通の住宅街にポツンと空き家らしい物件。そこまでボロボロではないが、人の気配はないし、ガスメーターはゼロの表示。間違いなく空き家だ。この家は借地に建っており、ひとり暮らしだった住人が亡くなった後、遺族が移り住もうとしたところ、取り壊しを求める地主とモメて、係争中で塩漬けになっているのだという。

 また、住宅街に不似合いな駐車場が突然目に入るが、近隣住民によると7年前まではボロボロの木造アパートが建ち、長らく無人の廃屋だったという。 

 「老朽化していて倒壊も恐かったし、何よりも夜中にホームレスらしき人たちが大勢出入りしていて、治安が悪化するという問題があった。権利関係が複雑で、建物の持ち主を突き止めるのが大変だったみたいだけど、ようやく見つけ出して交渉の末、更地にできたんです」

玄関も窓も固く閉じられ、人を寄せつけない雰囲気の空き家。

 

 北千住界隈をざっと歩いてみただけでも、放置空き家が簡単に見つかる状況だけに、足立区では他自治体に先がけて、平成23年11月に「足立区老朽家屋等の適正管理に関する条例」を施行。これは空き家を含む老朽家屋やゴミ屋敷に適正管理を指導し、特に危険な老朽家屋については解体工事の費用を助成するもの。同年3月に起きた東日本大震災を受けて制定された条例だ。

  「平成29年には足立区の委託事業として、北千住駅東口エリアの空き家を再活用するプロジェクトもスタートしていますが、増え続ける空き家になかなか追いついていない感じです」とは、前出の不動産業関係者。

 少子高齢化による人口減少は構造的な問題だけに、即効的な対策はなかなか見出せないのが実情だ。