ところで今回のテーマは「使い回し」。「loves of my life」というユーゴ・モンテネグロのハーレム風のジャケットを見ていたら、このモデルたち、どこかで見たことあるなぁという気がし始めた。

「loves of my life」

 そうだ!「MU CHACHAS」。3人のモデルが同一ではないか? 写真を仔細に見ても確証は得られないが傍証はある。まずレーベルが同じVikレコード。カメラマンも同じマレイ・レイデン。そしてレコード番号は1088番と1089番というひとつ違い。ということは同じ月にリリースされたことは間違いないし、そもそも制作が同時だった可能性が高い。

 そこから推測すると、同じスタジオで同じカメラマン、同じモデルで二枚分のアルバムの撮影をしたのではないか。低予算映画ではよくある話だ。ロジャー・コーマンを筆頭にジェス・フランコなんかが悪名高い。

 撮影後のモデル写真を使い回すのはよくある話だが、同じ日に同じモデルを使って衣装を変えて別レコードの撮影というのは、寡聞にして知らず……ちょっとした発見かも。

 大手のレーベルなら撮影セットに凝るものも多い。人気男性コーラス・グループ、エイムズ・ブラザーズの「DESTINATION MOON」は、まったく「美女ジャケ」には関係ないが、ここはセットだけご覧あれ!

「DESTINATION MOON」

 そしてエスキベルのスペース・エイジ・ミュージック「OTHER WORLDS OTHER SOUNDS」の背景のセットをよく見ると……「DESTINATION MOON」のセットの書き割りのロケットを消し、色調をグリーンにしているが、まったく同じ書き割りの使い回しである。

「OTHER WORLDS OTHER SOUNDS」

 これは人気アーティストのエイムズ・ブラザーズのためにセットを作ったのは間違いない。先に発売されているから。

 さて駆け出しのエスキベルのジャケをどうするか、レコード会社のプロデューサーやディレクターが思案したときに、そうだ、あのセットが残っているはずだ! それを使おう!となったと推測する。

 どちらのジャケも良いし、音楽的にもどちらも素晴らしく良質。だが、いまでは「お古」のセットを使わせられたエスキベルのレコードのほうが、中古相場ではずっと高い。

 リリース元のRCA VICTORは歴史も古い大手レーベルだが、使い回しはけっこう派手だし多い。ちなみに「MU CHACHAS」を出したVikレコードはRCA VICTORのサブ・レーベルとして発足。使い回しの社風は見事に子会社にも引き継がれていることになる。

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