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「大切なのは誠実であること」。皇室御用達の老舗与儀美容室がお客さまから学んだ“一流の気遣い”

「お客さま目線」を大切にする与儀美容室がお客さまから学んだ素敵な生き方

 与儀美容室にいらっしゃるお客さまの中には、国内にほんのひと握りしかいない上流階級と言っても差し支えない方もいらっしゃいます。そして、そういった方ほど、丁寧に人と向き合われているように感じます。

 たとえば、お着付けにいらっしゃるときに、いつも紐の一本一本にいたるまでピシッとアイロンをかけてお持ちになる奥さまは、スタッフに気遣いの言葉をかけられたり尊敬できるような立ち居振る舞いをされます。

 もちろん、お手伝いさんがいらっしる方もいますので、すべてご自分でされていらっしゃらないかもしれません。けれども、その場で私たちがアイロンをかける手間や着付けの仕上がりの差を想像してお手伝いさんに「紐まできっちりアイロンをかけてね」と、ひと言おっしゃられるお気持ちがありがたいのです。

 毎週お越しになるあるお客さまは、三ヶ月に一度パーマをおかけになるたび、パーマ中にスタッフが食事を取れないことを気遣って、スタッフに軽食をお持ちくださいます。有名店のシュークリーム、ケーキ、お寿司の折り詰め、お漬物などなど。手でつまめるものを中心に、スタッフ全員分、たっぷりお持ちくださるのです。

 私たちのような裏方の食事にご配慮いただけるだけでも涙が出そうなくらいありがたいことなのですが、このお客さまはそれを数度と言わず、もう何十年も続けてくださっています。

 続けてくだっているということが、私たちを心から思ってくださっている証のように思え、そのお気持ちに応えなければといつも気を引き締めて仕事に臨ませていただいております。

 そのお人柄ゆえでしょう。このお客さまの100歳の誕生日パーティーには、著名人・政治家など、300人以上がホテルオークラ東京に集まりました。すべてのゲストが名立たるVIPなので、オークラの黒服が全員宴会場に出たほどの豪華なパーティーになりました。100歳というご高齢でいらっしゃいますが、いつまでもお元気でいていただきたいと心から思います。 

KEYWORDS:

『与儀美容室がお客さまから学んだ美しい生き方』
与儀育子

 

戦前、銀座の「資生堂美容室」で働いていた初代・与儀八重子氏が1948年、焦土となった銀座の一角に「シャンプーができる美容室」として開業したのが与 儀美容室のはじまり。その後、丁寧な仕事ぶりや革新的な技術の導入、さまざまな縁も重なって宮家が通うようになり、その後、順宮厚子内親王殿下(池田厚子 さま)の婚礼の支度などを任されるようになる。さらに紀子さまの婚礼支度、雅子さまの婚礼支度、眞子さまや佳子さまの式典や晩餐会でのお支度など、皇室か ら信頼される一流美容室に。さらに与儀美容室は、縁あって山中教授や本庶先生など、ストックホルムで行なわれるノーベル賞受賞者の授賞式支度もされていま す。
そんな一流美容室でありながらも、モットーは「お客様目線」。例えばカラーで白髪を隠そうとしている客に対してカウンセリングし、白髪を活かす「グレーヘ ア」を提案するなど(※そのままカラーをすれば、当然カラー料金が利益になるが、個人の髪質やスタイルなどを踏まえ、客のためにならないことはしない=利 益のみを追求することはしない)、偉ぶることのない仕事ぶりはテレビなどでも特集されています。
本書は皇室御用達ながらも、けして高飛車になることなく地に足をつけた仕事ぶりで高い評価を得ている与儀美容室の「仕事の流儀」を紹介。さらに三代目であ る与儀育子氏が考える将来の展望なども含め、あまり語られることのなかった、与儀美容室の「今まで」と「これから」にも迫ります。

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与儀 育子

よぎ いくこ

与儀美容室

美容師

1949年創業、結婚式場として有名なホテルオークラ内にある与儀美容室は70年の歴史を誇る。与儀育子氏は、皇室女性担当として、プリンセス達に美しい髪を届けてきた与儀美容室の三代目。初代である祖母の八重子氏、そして母のみどり氏から受け継いだ、丁寧な仕事ぶりから、皇室のみならず、日本人ノーベル賞受賞者(山仲教授、本庶先生など)、経済界の著名人などが通う、一流の美容室である。


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