■複合的な要因で虐待が起こりやすい

 まず最初に挙げられるのが、近年注目を集めている虐待の問題です。二親世帯と比べて、単親世帯は子どもに虐待を行うケースが非常に多いと言われています。実際に単親家庭では仕事と育児の両立が欠かせず、多大なストレスに見舞われます。単親で長年育児に励み、その結果として虐待に至ってしまうことは珍しくありません。

 

 少し古いデータですが、東京都福祉保健局が平成17年に発表した調査結果(児童虐待の実態Ⅱ)によると虐待が行われた家庭の状況の中で「ひとり親家庭」が最も多いことがわかります。現代では「単親世帯」と「虐待」は、高い関連性を持った社会問題として捉えることができると思います。

 ふたつ目に多い状況として「経済的困難」が続きますが、先述の離婚件数に関するデータを参照すると、1991年のバブル崩壊に伴って平成の初めからグラフが上昇しています。企業の倒産に伴う失業や賃金低下などの経済的事情が、離婚件数の増加につながりました。景気の悪化によって離婚率が上昇し、単親世帯が増えて虐待が発生するという関連性をうかがい知ることができます。

 さらに、上位5つの項目について、同じ調査結果から他に併せて挙げられた上位3つの状況を確認すると「ひとり親家庭」、「経済的困難」、「親族、近隣等からの孤立」、「就労の不安定」の4種類が見られます。

 上位の状況が複合的に重なることで、虐待が起こりやすくなっていることがわかります。子どもを育てていく上では、さまざまな困難に直面します。単親であれば、その苦労はなおさら大きいものです。その中でさまざまなストレスが重なり、複合的な理由で虐待が起こるケースも多いのです。

大きな病気やケガを負う可能性もそしてよく言われるように病気やケガは、いざ自分の身に降りかかるまではなかなか備えをしにくいものです。

 結婚生活がうまく行っている場合でもどちらかが事故に遭う可能性もありますし、離婚した後に自分自身が病気になる、またはケガを負ってしまう可能性もあります。

 そのような事態が起こると子育てが難しくなるのはもちろん、逆に負担が増えてしまうことになり、物心両面で余裕を無くしてしまうケースも多く見られます。

 

■大きな病気やケガを負う可能性も

 そしてもうひとつ、子育てにおいて忘れてはならないことがあります。特に幼い子どもの発達においては、「父親」と「母親」のそれぞれが果たす役割が大きいということです。

 たとえば職員のほとんどが女性である児童養護施設では、どうしても「父親の役割」「父親の存在」を子どもたちに十分に伝えきれません。

 単親世帯での子育てでは、このような面でのリスクも考慮に入れるべきでしょう。