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日米安保は必要か?

日本はだれに守られるのか!?

適菜 おっしゃる通りですが、多くの日本人はそう思っていないということについて聞きたいんです。つまり、戦後七〇年以上たっているのに、独立国家の体裁になっていないのは、もちろん様々な要因があるけど、何度も言うように、国民の多くが自主独立したくないと思っているからです。アメリカの属国になりたいと思ってるのではないですかという質問です。

清水 うーん。支配されていることを意識していない人が圧倒的に多いんじゃないですか。望む、望まないというより。そうしたことの構造的な問題を知れば、「変えたほうがいい」という意識が芽生える人がいるかもしれませんが、学校では日米安保の詳細や日米地位協定について具体的に教えませんよね。第

適菜 だから、教育任せではダメなんです。それを含めて戦後なわけですから。左翼は安易にナショナリズムを批判しますが、日本共産党は健全なナショナリズムに訴える努力をもっとすべきです。

清水 安倍政権は北朝鮮脅威論や中国脅威論を煽り、安保法制を強行し、日米軍事同盟を基軸として軍備増強をやっているわけです。

適菜 近隣諸国の脅威を理由にしてナショナリズムを煽るのは、どこの国もやってますが、アメリカに矛先が向かわないのは、自主独立を最初から放棄しているからです。

清水 中国が尖閣諸島を侵略すると言う人がいますが、本当に島を取り合うために全面戦争をするメリットがどこにあるのかわからない。今、日本にとって最大の貿易国は中国ですよ。中国だってジャパンマネーがないと成り立たない。企業も支社や支店を置いて、人的交流を盛んにやっている。岸田文雄が外務大臣のときに日本共産党の大門実紀史が「中国は脅威か?」と聞いたら、「中国は脅威ではありません」と答弁しています。中国が尖閣諸島に公海侵犯したり、南沙諸島に海洋基地を作ろうとしたりするのは、絶対に許せない。でも、中国脅威論を前提にアメリカの軍事力が必要だということに、はたしてなるのだろうか。

適菜 そうですね。

清水 自衛隊(の前身の警察予備隊)ができたのは一九五〇年です。日米安保条約ができたのは五一年。これは朝鮮戦争が始まったときです。アメリカのウィリアム・J・ペリー元国防長官が、D?AE?北朝鮮の脅威がなくなれば、米軍基地や安保条約の根拠はなくなると述べている通り、朝鮮半島の和平の進展のために努力することが、日本政府にも求められていると思います。

適菜 米軍基地が日本にあるのは、アメリカにメリットがあるからです。理由はそれだけです。メリットがなくなれば、日本政府が駐留をお願いし続けても出ていくでしょう。

清水 核兵器を廃棄する北朝鮮の具体的プロセスが見えないとか、北朝鮮は時間稼ぎをして核開発をやるつもりだとか言う人もいる。でもトランプと金正恩の首脳会談もあった。これまでのように高官レベルのものではないので、そう簡単に後戻りはできない。板門店の平和の家で一一年ぶりに首脳会談をやったときに時計が一つあった。北朝鮮の標準時計と韓国の標準時計。二国には時差があった。それで金正恩が「同じ国なのに心が痛い」と、北朝鮮の標準時刻を韓国に合わせた。それを受けて、韓国は三八度線、軍事境界線でやってた宣伝放送をやめた。

適菜 それまでは北朝鮮に向けて韓国の歌謡曲を流していました。

清水 「おーい。おまえら、食べるもん、あるかあ。こっちは毎日、焼き肉食べとるぞ」と。あの宣伝放送も中止した。米韓軍事演習も無期限で停止し、北朝鮮は米兵の遺骨を返し、拘束してたアメリカ国籍の三人を帰した。北朝鮮は彼らの言い分では核兵器の施設を破壊し、自衛隊と韓国は六一万人の軍人を五〇万人に減らす計画を発表した。南北をつなぐ鉄道や道路により、経済圏を作っていこうというムードが発生しているときに、日本はどう向き合っていくかが問われています。

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『日本共産党 政権奪取の条件』
著者:適菜 収、清水 忠史

 

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日本共産党とは相いれない部分も多い。私は、共産主義も新自由主義と同様、近代が生み出した病の一環であると考えているからだ。日本共産党が政権を取る日は来るのか?本書で述べるようにいくつかの条件をクリアしない限り、国民の信頼を集めるのは難しいと思う。そこで、私の失礼な質問にも、やさしく、面白く、かつ的確に応えてくれる衆議院議員で日本共産党大阪府委員会副委員長の清水忠史さんとわが国の現状とその打開策について語った。
――――保守主義者・作家 適菜 収
 
作家・適菜収氏との対談は刺激的であった。保守的な論壇人としてのイメージが強く、共産主義に対して辛辣な意見を包み隠さず発信してきた方だけに、本当に対談が成り立つのだろうか、ともすればお互いの主張のみをぶつけ合うだけのすれ違いの議論に終始してしまうのではないかと身構えたのだが、それは杞憂に終わった。
――――共産主義者・衆議院議員 清水忠史

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  • 2019.07.08