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日米安保は必要か?

日本はだれに守られるのか!?

「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」。世界情勢が複雑化するなか、日米関係のキモであるこの条約について、保守主義者・作家 適菜収さんと共産主義者・衆議院議員 清水忠史さんに語り合ってもらった。(『日本共産党 政権奪取の条件』適菜収、清水忠史/KKベストセラーズ より)

【日米安保は必要か?】

 

清水 憲法を解釈して集団的自衛権を使えるようにするのは卑怯です。既成事実をつくって国民を黙らせるのが安倍政権のやり方です。安倍の改憲を阻止するという点においても、憲法九条は役立っていると思います。

適菜 それはそのとおりです。安倍が改憲したら国が壊れます。そういう意味では、改憲派は教条的な護憲派とも組むべきだと思います。

清水 僕は日米安保がある限り日本の主権は回復できないと思う。何をもって自主独立かといったら、僕は日米安保の廃棄だと思うんです。日米安保条約第六条には、日本全土にアメリカが望むだけ、基地を置くことができるという条項もあります。

適菜 安保条約に関わった元国務長官のジョン・フォスター・ダレス(一八八八〜一九五九年)は、「日米同盟によってアメリカが得る利益は、日本のどこにでも、どれだけでも、いつまででも基地を置く権利を手にすることだ」と言っていたそうです。そこをウラジーミル・プーチンにツッコまれているわけですが……。

清水 これが不平等な日米地位協定の根拠にもなっている。「日米地位協定を見直せ」と日本政府は一度も言ったことがありません。米軍機の事故や米兵による犯罪が発生したとき、必ず日米地位協定が俎上に上りますが、政府が抗議をすることはない。今の社会は昔に比べるといい社会だと思います。日本に生まれてよかったと思うし、日本も好きです。愛国心も持っています。でも、行き過ぎた対米従属と財界中心という二つを正していかなければならない。そしてそれは日米安保条約をなくしていくということです。でも、これは野党全体の共通項目にならないんですよ。そんなことを言っているのは日本共産党だけですから。軍備増強を言う人に問いたいのは、どこの国が脅威ですかと。

適菜 それは、攻められなければわからないですよ。

清水 攻められなければわからない脅威のために、見えない相手のために、軍備を増強すると。

適菜 当たり前です。

清水 国民生活が犠牲になってもということですか?

適菜 国民生活と軍備を対立させて考えるほうがおかしくないですか。生活も国防も大事でしょう。

清水 沖縄で世論調査をすると、安保条約の廃棄を求める県民のほうが多いんです。本土は、そうなってない。沖縄は基地問題があるからです。この先、「アメリカのいいなりでいいのか?」ということが、全国民的に問われていく時代になってくると思っています。日米安保を解消するのに、アメリカの合意はいらないんですよ。第一〇条に廃棄条項があって、「どちらか締結国一方が廃棄を通告すれば、同意なしに一年後に、自動的に失効する」とあります。だ
から、日米安保廃棄をやるという政権ができれば、自主独立路線はできると思う。

KEYWORDS:

『日本共産党 政権奪取の条件』
著者:適菜 収、清水 忠史

 

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日本共産党とは相いれない部分も多い。私は、共産主義も新自由主義と同様、近代が生み出した病の一環であると考えているからだ。日本共産党が政権を取る日は来るのか?本書で述べるようにいくつかの条件をクリアしない限り、国民の信頼を集めるのは難しいと思う。そこで、私の失礼な質問にも、やさしく、面白く、かつ的確に応えてくれる衆議院議員で日本共産党大阪府委員会副委員長の清水忠史さんとわが国の現状とその打開策について語った。
――――保守主義者・作家 適菜 収
 
作家・適菜収氏との対談は刺激的であった。保守的な論壇人としてのイメージが強く、共産主義に対して辛辣な意見を包み隠さず発信してきた方だけに、本当に対談が成り立つのだろうか、ともすればお互いの主張のみをぶつけ合うだけのすれ違いの議論に終始してしまうのではないかと身構えたのだが、それは杞憂に終わった。
――――共産主義者・衆議院議員 清水忠史

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  • 2019.07.08