EU離脱寸前か!? 「イギリスと結婚した」と言った処女王の<br />凄絶な人生と性格を知る!<br /> |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

EU離脱寸前か!? 「イギリスと結婚した」と言った処女王の
凄絶な人生と性格を知る!

歴史上の人物を四柱推命で鑑定! 第64回 ~エリザベス1世~

 続いて、通変星、蔵干通変星からエリザベス1世の性格を読み解いていく。通変星、蔵干通変星をわかりやすく円グラフに表すと下記のようになる。

 

知性…様々な分野の知識が豊富で、何かを学ぶことに喜びを感じる。頭の回転が速く、物事を論理的に捉えることが上手

行動力…頭で考えるよりも行動で結果を出す。未知の分野に挑戦する意欲が強く、交渉力や営業力を磨けば成功できる

人脈…さりげない気配りができて誰とでも仲良くなれる。サービス精神が旺盛でコミュニケーション能力も高く人を動かせる。

自立心…他人に依存することなく、自分が信じた道を突き進む強い精神性。リーダーシップを発揮しフリーで活躍できる。

遊び心…楽しいことを企画する等、生活に遊びを取り入れることが自然とできる。芸術面の才能があり、表現力が豊富。

☆エリザベスの性格はアンバランス!?

 通変星には「知性」「行動力」「人脈」「自立心」「遊び心」と5種類の星があるが、多くの星を持っているほど、性格のバランスがよいと判断される。しかし、エリザベスに至ってはどうだろう。「遊び心」と「人脈」の2種類しか持っていない。自分1人では世の中をうまくわたることのできない不器用な性格だったのだろうか。

 また、持っている星を見てみると、「遊び心」が3つと「人脈」が2つと、明るく、おおらかで優しい星ばかりだ。ここだけ見ると、キャピキャピしたアイドルのような女性像が思い浮かぶ。しかし、どの文献に触れても、そんな子どもっぽいエリザベスの姿は見えてこない。それどころか、肖像画に代表されるように、豪華なドレスで着飾って、にこりともせずに強い目線をこちらに向ける…どちらかというと冷血なイメージさえある。

 キャピキャピした少女のようなエリザベス1世はどこに行ってしまったのか?生き抜くために本来の性格を自らの意思で封印したと考えるのが妥当だろう。母・アンは、エリザベスが3歳の時に罪を着せられて処刑され、姉・メアリーの治世では、スペイン王太子との結婚問題で国内が騒然となった。そんな中、エリザベス1世自身、ワイアット乱への関与を疑われロンドン塔に投獄されたこともあった。このように、エリザベスは幼い頃から家族の修羅場を見てきた。今日の味方も明日の敵になるかもしれない…そんな思いが彼女を変えたのだろう。エリザベス1世は、ロンドン塔の獄中で上手にふるまった。1558年、異父姉・メアリー1世が死ぬまで目立った行動をせずに過ごし、ついに王座を手にしたのである。女王になりたかったかどうかは知らないが、「こうなったからには」と、本来の自分を捨て、より男らしく、為政者らしくふるまおうと心に誓ったのだろう。何とも痛ましいことである。国も時代も違うが、本来の自分の性格を封印して将軍として生きた、徳川家光と重なる部分がある。

遊び心60%(食神2つ、傷官)

 遊び心は、生活に遊びを自然と取り入れて楽しむことができ、芸術面の才能もある。中でも「食神(しょくじん)」は明るくおおらかで子どものような性格。楽しく遊ぶことが大好きで、話したり歌ったりするのも得意。食べるのが好きでグルメでもある。この星を2つ持っていたエリザベス1世はこの性質が強まっていたことが予想される。また、「傷官(しょうかん)」は、起伏が激しいガラスのハートの持ち主。きれいでキラキラしたものにあこがれ、芸術性が高い。美に対するこだわりが強い。

 上記で述べたように、「遊び心」の中でも特に「食神」はエリザベス1世が封印してきた性格のように思うが、「傷官」は多少納得がいく。エリザベスは生涯に数十枚もの肖像画を残したが、どれも決まって派手なドレスを着て、真っ白な能面顔で収まっている。人間離れした威厳を示し、化粧と衣装に甚だしく凝っていたことがわかる。あらゆる危機を乗り越えてきたエリザベスだが、何をどうしても唯一隠せなかったのが、自らの老いだった。40歳頃からのエリザベスはオレンジ色のカーリーヘアで絵の中に納まっている。現代のようにアンチエイジングが確立されていなかった当時、30歳を過ぎれば自然に髪と歯が抜け始めた。エリザベスもそれを隠すために常にカツラをかぶり自らを描かせたのだろう。それほど美に強いこだわりがあったものと推察される。

「食神」のイメージのないエリザベスだが、グルメで子どもっぽくかわいらしい面は垣間見える。当時砂糖は高級だったため、お菓子は上流階級しか口にすることができなかった。エリザベスは大のお菓子好きで、周りの誰もが知るところであった。お菓子を食べすぎたせいで、晩年はほとんどの歯が虫歯で、真っ黒だったり欠けたりしていたという。そんな理由もあって肖像画はどれも歯を見せていないのだとか。

人脈40%(偏財2つ) 

 人脈は、気遣いができて誰とでもコミュニケーションが取れる星。お金の星でもある。中でも「偏財」は、様々な人脈を手に入れることができ、お人よしでノーを言えないため騙されやすい面を持つ。また、お金は入ってくるが使ってしまうという、いわゆる回転財。エリザベス1世はこれを2つ持っているが、この要素が強まっていたものと予想される。

 父・ヘンリー8世の市民人気に端を発し、エリザベス1世で確立したとされるイギリスの絶対王政。絶対王政といえども、フランス等の他国と少し毛色が違う。イギリスの場合、王室が直接的に権力をふるっていたのではなく、その王室の権力を分散すべく、中央には議会が設置され、さらに地方の行政を統治すべく担うジェントリの存在があった。つまり、イギリス全土を掌握するためには、議会ともジェントリともうまくやる必要がある。これをやってのけたのが、父・ヘンリー8世であり、エリザベス1世なのだ。所要人物との距離感をうまくとり、巧みにコミュニケーションをとったことと予想される。これこそコミュニケーション能力の賜物だろう。

 しかし、「偏財」を2つも持っていただけあり、お人好しで騙されやすく、人に翻弄される特性があったことだろう。エリザベスが寵愛した青年伯爵・エセックス伯は絵に描いたような貴公子だった。2人が初めて出会ったとき、エセックスは20歳を過ぎたばかりなのに対し、エリザベスは50歳を過ぎていた。すっかりエセックスをお気に召したエリザベスは、わかりやすく依怙贔屓を行ったエリザベスは、甘口ワインの専売権をエセックス伯に譲渡し、エセックス本人に請われるまま、枢密院の議席までをもプレゼントした。やはりエリザベスはノーを言えないお人よしな性格だったのだろう。

 そんな状況にエセックスはすっかりつけあがってしまった。枢密院の会議の席では、親子ほども年の離れた宰相セシルにむやみに食ってかかり、戦争に持ち込もうとするばかり…。そんな横暴なエセックスに対しエリザベスはついに声を荒げて叱責。その後、左遷されアイルランドの総督となったのだが…アイルランドにおいてもエセックスは女王の決裁を仰ぐ前に独断する等の不始末を繰り返し、ついには反逆罪に問われた。もはやエリザベスにもどうすることもできず、涙を流しながら自身で刑死を命じた。エリザベスが恋焦がれたエセックスはエリザベスに黙って結婚していたという。エリザベスのお人よしが過ぎたため、すっかり手玉に取られ翻弄されてしまった。

KEYWORDS:

オススメ記事

妃萃(本名:油川さゆり)

ひすい

青森県八戸市出身。慶應義塾大学 社会学研究科 教育学専攻 修士課程修了、同研究科 同専攻 後期博士課程在学中。2013年鳥海流・鳥海伯萃より四柱推命の指南を受ける。これまで500人以上を鑑定。多数の弟子を輩出。

元放送局報道記者。フリーアナウンサーとして、BS11の番組にレギュラー出演しているほか、ナレーターや司会として活動中。日本の歴史、伝統芸能を伝えるため、歴史勉強会、その他イベントを主宰。自身も大和言葉、辞世の句、武田氏と油川氏等について講演活動を行う。合同会社真己、共同代表。また、2016年6月から「カミムスヒ」というソングユニットで歌手活動を開始。手話検定3級、ホームヘルパー、視覚障害者ガイドヘルパーの資格を持ち、社会福祉活動に積極的に携わる。


この著者の記事一覧