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【リゾートホテルの怪談】―豪華ホテルの裏の世界―

夏のリゾートでの怖い怪談3編

 旅の楽しみの一つ、ホテルライフ。各種設備が整った豪華リゾートホテルとなればなおさらです。ただし、気をつけてください。素晴らしいところほど、強い想いが残されがちです。
 訪れるのがホテルのボーイならいいのですが、頬に傷がある強面のおじさんだとただ事ではすまなくなる危険性があります。ましてやこの世ならざるモノとなれば命に関わることにもなりかねません…。


|#01 『窓の外から見つめるモノ

 某私立大学のとある文化系サークルの夏合宿。夜のホテルでは大騒ぎになってしまったそうです。サークルのリーダーの部屋に集まって、最初はトランプなどをやっていたらしいのですが、酒が回るにつれて隠し芸大会みたいになってしまい、最後は全員でアニソンの合唱をしていたようです。

「バンバンバン!」
 海に面した窓が荒々しく叩かれ、一同はぎくっとして窓を見ました。すでに外はまっ暗でしたが、その黒々とした窓のまん中に、赤いアロハシャツを着た小太りの中年男が貼りついていたのです。男は窓を叩きながら何か叫んでいるようなのですが、サッシがあるためよく聞こえません。

「あ、すみません。うるさかったですか?」
 リーダーはそう言って、窓に向かって頭を2、3度下げてみせました。そして、窓を開けて謝罪しようとするのを、横にいた同学年の女子が止めました。

「ここ13階だよ…」
「え? ベランダに立っているんじゃないの?」
「ベランダなんてない。昼間見なかったの?」
「え? じゃあ、あれは…」

 ようやく彼が事態を理解し始めた時、1年生の女子が叫び声をあげました。
「か、下半身がない!」

 その瞬間、部屋の明かりが消えました。一同は悲鳴をあげて部屋を飛び出し、その夜は山側の部屋に集まって朝まで過ごしました。
 朝になってみると、一同はお化けに怯えて騒いだことが恥ずかしく思えてきました。酔っぱらって幻を見たのではないかと考えたのです。下半身がないと叫んだ子も、はっきり見たわけじゃないと白状しました。

 じゃあ、確かめに行こうということになり、一同は寄りそうようにして、その部屋に戻りました。
 部屋はコップや紙皿、酒瓶、スナック類が散乱してひどい有様でしたが、そのほかには変わった様子はありませんでした。男が貼りついていた窓にも、なんの跡も残っていません

「やっぱり幻だったんだ」
「誰かの影が映ったんじゃない?」
「そうに違いない」
「あの男、太ってたからリーダーが映ったんだ」
「ふざけるなよ」

 ほっとしたのか、皆は口々に冗談を言い合いました。そのうち、1人が何気なくバスルームの戸を開けました。そして、その場で腰を抜かしました。

 バスルームの鏡の中に、昨夜の男の姿があったのです。

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渋谷 申博

しぶや のぶひろ

日本宗教史研究家

1960年東京都生まれ。早稲田大学卒業。
神道・仏教など日本の宗教史に関わる執筆活動をするかたわら、全国の社寺・聖地・聖地鉄道などのフィールドワークを続けている。
著書は『聖地鉄道めぐり』、『秘境神社めぐり』、『歴史さんぽ 東京の神社・お寺めぐり』、『一生に一度は参拝したい全国の神社』、『全国 天皇家ゆかりの神社・お寺めぐり』(G.B.)、『神社に秘められた日本書紀の謎』(宝島社)、『諸国神社 一宮・二宮・三宮』(山川出版社)、『眠れなくなるほど面白い 図解 仏教』(日本文芸社)ほか多数。

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