◆怪しすぎる米朝会談の経緯

 

 まずは前回記事「『米朝ツイート会談』の大嘘」のおさらいを。

 6月30日、アメリカのトランプ大統領は、北朝鮮の金正恩委員長と板門店で握手、50分ほど会談しました。
 アメリカと北朝鮮の対話は、2月にハノイで開かれた第二回米朝会談が物別れに終わっていらい、暗礁に乗り上げていましたから、世界があっと驚いたことは言うまでもありません。
 この会談、6月29日の午前7時51分にトランプが送信したツイートをきっかけに、ものすごい勢いで調整が進んで実現したというのが、開催の経緯をめぐる公式の説明。

 だが、本当にそうか?

 国交がなく、国際法上は戦争状態(朝鮮戦争は休戦しただけで、本当には終結していないのです)の首脳同士が、かくも易々と会談にこぎつけられるというのは、常識で考えるかぎり相当に不自然。

 しかも会談の一週間前にあたる23日、朝鮮中央通信は金正恩がトランプから親書を受け取ったことを写真入りで報じています。
 金正恩、親書の内容を絶賛したうえで、「興味深い内容について真剣に検討する」と述べたとか。
 彼が検討した内容が、「第三回米朝会談のサプライズ開催」に関するものでなかった、などということがありうるでしょうか?

 きわめつきはこれ。
 アメリカのポンペオ国務長官は、北朝鮮はトランプのツイートから小一時間で返答してきたと語っています。
 ところがそのさらに前、29日の午前8時25分に、北朝鮮の英語ツイッターアカウント「DPRKニュースサービス」が、トランプのツイートにコメントをつけてリツイートする、いわゆる「引用ツイート」を送信しているのですよ。

 しかも引用ツイートの内容たるや、恋人に切々と訴えるような調子で、「ねえ、さびしくないかい? それとも、誰か愛してくれる人が側にいるのかい?」と呼びかけるもの。
 スタンリー・キューブリックの名言「大国はみなヤクザのように振る舞い、小国はみな娼婦のように振る舞う」そのままという感じですが(※)、こんなツイートを担当者の独断で送信できるはずがない。
 全世界の目に触れるんですからね。
(※)娼婦には男娼も含まれます。

 だがDPRKニュースサービスの引用ツイートが送信されたのは、トランプのツイートが送信されたわずか34分後。
 ついでに土曜の朝とくる。
 トランプのツイートを見てから、大急ぎでコメントの文案をつくり、政府上層部の許可を取って送信したと思う人、手を挙げて!