「米朝ツイート会談」の大嘘 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「米朝ツイート会談」の大嘘

令和の真相⑰

◆主役をさらったトランプ

 

 6月末のG20大阪サミットは、29日、首脳宣言を出して無事に閉幕しました。
 大阪一帯では、警備体制があまりに厳重だったせいで、かの山口組と、そこから分裂した神戸山口組の双方が、組員にたいして開催期間中の事務所出勤を控えるよう指示したとか。
 ふだんは交代で事務所に詰め、掃除や電話番、来客応対などをするのですが、途中で検問や職務質問にひっかかるリスクが高すぎるから、とのこと。
 任侠もサミットには勝てぬ、であります。

 ただしフタを開けてみれば、最も注目を集めたのは、29日の米中首脳会談と、つづく30日に板門店で行われた米朝首脳会談。
 わけても後者はサプライズ開催だったこともあって、世界を驚かせました。
 議長国であるわが国の安倍総理を脇に追いやり、トランプ大統領がスポットライトを浴びたサミットだったわけです。

 なるほど、トランプは7月1日、こんなふうにツイートしてはいる。

 【日本の安倍総理に、おめでとうを言いたい。今回のG20はみごとに運営された素晴らしいものだった。欠けていたものや、間違いは何一つなかった。完璧だ! 日本人はさぞ総理を誇りに思っているだろう。】
https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1145709384963645440

 しかるにお立ち会い。
 トランプは米中会談や米朝会談について、成果を誇示し、相手を褒め称えるツイートをしていますが、日米会談に関するツイートはしていないのです。
 してみると上記のツイートも、要は「引き立て役になってくれてありがとよ、あんたの影が薄くなっちまって悪かったな」ということではないのか。

 まあ、拙著『平和主義は貧困への道』で論じたとおり、戦後のわが国はアメリカの「極東現地妻」と呼ばれても仕方のない存在。
 ついでに近年は政府関係者みずから、そのことを誇りに思ってすらいる形跡が濃厚ですから、それでも構わないのかも知れませんが。

KEYWORDS:

オススメ記事

佐藤 健志

さとう けんじ

佐藤健志(さとう・けんじ)
 1966年、東京生まれ。評論家・作家。東京大学教養学部卒業。
 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。
 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。
 主著に『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)、『右の売国、左の亡国 2020s ファイナルカット』(経営科学出版)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)など。共著に『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』( VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』( PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年12月、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。
 2019年いらい、経営科学出版よりオンライン講座を配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻に続き、現在は『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻が制作されている。

 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路
平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路
  • 佐藤 健志
  • 2018.09.15