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あおによし 奈良の都の多聞山城③

季節と時節でつづる戦国おりおり第379回

 では、城跡の外側をまわってみましょう。

 

 城の東側、大堀切の跡です。現在は道路になっていますが、右側の中学グラウンドは善勝寺山という多聞山城の外曲輪の跡で、往時はすぐ切り落とせる木橋などで連絡していたのでしょう。

 

 逆光で白飛びしていますが、城の北側の大堀切跡(道路)からは断崖が5~6m立ち上がっています。これだけ高低差があれば、とりあえずは安心ですね。

 

 城の南を流れる佐保川です。天然の水堀。

 またテクテクと近鉄奈良駅に戻ります。途中はかつての町人地で、奈良女子大学は徳川家康によって慶長18年(1613)に設置された奈良奉行所の跡にあります。

 

 その規模たるや、京都の二条城にほぼ匹敵といいますから、政庁というよりも城。まさに家康が大坂の陣に備える奈良の軍事拠点にと考えた結果がハッキリ現れています。

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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