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『消えたお妃候補たちはいま』から紐とく、天皇陛下の雅子さまへの想い―後編

天皇陛下と皇后雅子さまがご成婚に至るまでを“皇室の婚活”という視点で読む

91年9月から11月にかけて、十数年にわたって名前があがり続けた「最後のお妃候補」と3回会った皇太子さまは、熟慮の末、お断りすることを決心する。それは同時に、ずっと想いを持ち続け、皇太子妃に迎えたいと願う一人の女性とやはり絶対に結婚したいという決意も意味していた。

お相手は英国での研修留学を終えて90年に帰国し、日米外相会談で通訳を務めるなど日々外交の現場で活躍している小和田雅子さん、その人であった。

 

1992(平成4)年2月、32歳の誕生日前の会見で語った内容は、いま見ると宮内庁や関係者すべてに向けての決意表明のようにも、雅子さまご本人へ宛てたメッセージのようにも取れる。

「結婚は良き伴侶を見つけ、人生をともに歩み、互いに助け合っていく非常に大切なもの。一にも二にも縁とプロセスが大切。それに何かロマンみたいなものがあるといい」

「最終的には自分で決めたい。困難に直面した場合は自分で切り開いていく」

「皇室は距離があるというか、入りにくいことは誰でもあると思うが、お互いの心の交流を通じて少しずつ緩和されていく希望を持っている」

「(お妃の条件、理想像は)やはり価値観が同じこと。他人を思いやって痛みが分かる人であってほしい。みんなが納得してくれるというのは必要だと思います」

 

この年の12月にプロポーズを受諾してもらうまで、雅子さまとの初めての出会いから数えても6年以上。お妃探しは、世間一般では“婚活こじらせ男子”ともいうべき長期間に及んだ。

しかし長期化するなかでずっと、理想の女性への純愛と呼ぶべき一途な想い、縁とプロセスを大切に、自分で決めたいというこだわりをブレることなく持ち続けていたからこそ、それらは最後には強い信念となって雅子さまの心に深く響いたのではないだろうか。

 

『消えたお妃候補たちはいま』には、ご成婚以降お二人で歩まれ苦難の連続だった平成26年間と、かつてのお妃候補であった方たちの現在も克明に綴られている。

いま再び皇室外交の場で輝く皇后雅子さまを見るたび、ご成婚に至るまでの天皇陛下の強い想いが四半世紀ずっと変わらず雅子さまを支え、乗り越えてきたからこその今があるのだろうと、改めて思いをめぐらさずにはいられないのである。

 

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消えたお妃候補たちはいま ―「均等法」第一世代の女性たちは幸せになったのか

小田桐 誠

 

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皇后雅子さまと他の候補者たちを分けたもの

それぞれを待っていた未来は

 

令和時代が幕を開け、皇后となった雅子さまに大きな注目が集まっている。現在の皇室も結婚問題に揺れているが、天皇陛下が雅子さまを射止めるまでの「お妃選び」も、初めてお相手候補の報道が出てから15年という長期にわたり世間の耳目を集めるものであった。

その間、リストアップされた有力候補者たちは本書に登場するだけでも70名。雅子さまとのご成婚に至るまでに、家柄も学歴も申し分ない候補者たちがなぜ、どのようにリストから消えていき雅子妃が誕生したのか。

外務省でのキャリアを捨てて皇室に入られた雅子さまと、消えたお妃候補者たちは同世代で、いずれも「男女雇用機会均等法」第一世代。四半世紀を経た今、果たしてそれぞれの幸せをつかんでいるのか――克明に追ったルポルタージュ。

 

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小田桐 誠

おだぎり まこと

ジャーナリスト

1953年青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。



出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。



放送専門誌『GALAC』編集長、BPO「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事選奨事業委員会委員長、法政大学社会学部兼任講師を経て、現在、メディア総合研究所運営委員、立教大学と武蔵大学社会学部兼任講師。



著書に『企業脅迫!——グリコ・森永事件の構図(社会思想社)』、『PTA改造講座』(NHK生活人新書)、『テレビのからくり』(文春新書)、『NHKはなぜ金持ちなのか?』(双葉新書)などがある。『日刊ゲンダイ』毎週月曜日発売号に「MC・コメンテーター診断」を連載中。


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  • 小田桐 誠
  • 2019.05.25