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世にも恐ろしい「脚気」に苦しんだ江戸の人々を救った“ある野菜”

有名中学入試問題で発見する「江戸時代の日本」⑥お茶の水女子大学附属中学校

■脚気にかかるとどうなる?

 脚気になるとまず最初、指先やつま先が痺れます。そして下肢にむくみがでて、顔からお腹へとそれが広がっていきます。

 これはビタミンB1不足による「慢性的な心不全」「末梢神経の障害」(…書いているだけでオソロシイ…)の症状で、むくんだり痺れるわけです。

 最初は下半身なのに、次が顔とは…。

 手はうまく物が掴めなくなり、足もつまずいたり転んだりしやすくなります。

 手足の先が痺れているんだから当然と言えるでしょう。

 とりわけ「腿(もも)と脚にそれが強くあらわれる」といいます。

 だから「脚気」というほどなので、よほどそうなのだと伺い知れます。

 これが更に進むと「痺れは両手足腕の全体」に広がり、だるくなります。

 当然、歩くことは既にこの段階にして難しくなり、立っていることさえ困難になります。

 そして更に進むと血圧が低下し、急性心力衰弱(衝心)を起こして「心臓の機能が完全に停止」。遂に、死に至ります。

 そしてこの衝心の経過はとても早いため、「三日坊」と呼んで恐れられました。

 僅か三日とは!!!…う~ん…想像するだにコワいわ…。

 当時はどんなに恐ろしい病気だったでしょう!

 …ちょっと怖ろしくなってきたので、今回はここまで。

 次回はこの続きで「江戸の町でも脚気にかかりにくい人々がいたが、それはどんな人々?」というテーマ、そして今回の入試問題の答えである『だいこん』『江戸野菜』について書きたいと思います。次回もお楽しみに~^^

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瀧島 有

たきしま あり

江戸文化歴史研究家

江戸文化歴史研究家。学校や教科書が教えない、江戸の町の武家・庶民の真実の姿、風俗や文化、食べ物などを研究する傍ら、江戸文化勉強会「平成江戸幕府」を主宰。フェリス女学院大学、内閣府クールジャパン・アドバイザリーボード・メンバーなどを経て、法政大学文学部史学科に在学中。著書に『あり先生の名門中学入試問題から読み解く江戸時代』など。


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  • 2015.11.01