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トライより3点を選ぶ理由。ラグビー「ペナルティゴール」の思わぬ破壊力

「ラグビーのオモロイ観方」第8回

■ペナルティゴールはトライ以上の破壊力?

福田 そういえば、今の日本代表のチームコンセプトが「キックを上手に使い、攻撃にバリエーションをつけるスマートなラグビー」ということでしたけど。現代ラグビーでは、キックの重要性が増しているんですか?

大西 実はそうなんです。背景には、どのチームもディフェンスのレベルが上がっているので、キックを交えないとなかなか得点できなくなっているんです。なのでテストマッチなど試合のレベルが上がれば上がるほど、基本的な攻め方として、序盤はペナルティゴールでコツコツ点数を稼ぎ、相手にプレッシャーをかけていく戦術が有効になります。

福田 でも、ペナルティゴールってたった3点ですよね? それぐらいじゃプレッシャーにならなくないですか?

大西 もちろんたった3点だったら、トライを取られただけですぐ逆転されてしまいます。でも3点を積み重ねることができれば、ボクシングのジャブのようにじわじわ相手にダメージを与えることができます。ラグビーはまず9点差、つければ安全圏といわれますが、3回ペナルティーゴールを決めれば一歩リードできるのです。

福田 9点差…そうか、トライ+コンバージョンキック=7点でも届かない。

大西 試合序盤でまず9点差をつけて、相手を焦らせて精神的なプレッシャーを与える。そして、そのスキを突いてトライを狙い、さらに点差を広げる。これがテストマッチレベルでは理想的なゲーム展開と言えるでしょう。さらにペナルティーゴールのいいところは、仮にゴールが外れても相手ボールのドロップキックでプレーが再開、そのボールをしっかりとまた確保できれば敵陣でプレーができる。つまりまた攻撃が続けられるのです。

福田 なんとなくキックって地味で消極的なプレーというイメージがありましたけど、精神的に優位に立てるという意味でかなり攻撃力があるんですね。

大西 そうです。思ったよりアグレッシブなんです。これからラグビーを観る上で、キックにも注目してみてください。

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大西 将太郎

おおにし しょうたろう

ラグビー元日本代表、解説者。

地元東大阪市の布施ラグビースクールでラグビーを始め、啓光学園高3年で全国高校大会準優勝。高校日本代表では主将を務め、スコットランド遠征全勝の快挙を達成。ジャパンラグビートップリーグ(リーグ戦)は通算143試合に出場。2007~08シーズンは「ベスト15」、「得点王」、「ベストキッカー賞」の三冠に輝く。日本代表には同志社大4年時(2000年)に初選出、以降、2008年のサモア戦まで通算33キャップ(試合)に出場。2007年ワールドカップフランス大会のカナダ戦では終了直前に同点ゴールを決め、12-12と引き分けながらも日本代表のワールドカップ連敗記録を13で止めた。 2016年現役引退。現在はJSPORTSやWOWOWのラグビー解説者として、また2019年ラグビーワールドカップの認知活動および、ラグビーの普及活動のため全国をまわっている。


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