3年間。本気で婚活した結果、<br />自分の選ぶ未来に自信が持てました |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

3年間。本気で婚活した結果、
自分の選ぶ未来に自信が持てました

-83人と出会った、ある婚活女子のリアル-

|婚活と年齢について話します

 私はずっと結婚願望がなく、彼氏が欲しいという気持ちも薄い女でした。その理由はいくつかありますが、両親の仲が破綻していたため、結婚への夢や憧れがなかったことが、根深く最大の理由です。
 そしてもう1つ。逆説的ではありますが、自分はある種の恋愛体質である自覚があったことです。私は好きな人ができれば無限の妄想を膨らませ、恋人ができればその人のことで頭がいっぱいになり、仕事も疎かになり、失恋すれば会社のトイレに篭って泣き暮らすようなタイプでした。

 社会人3年目の春。私は唐突に、大きな大きな失恋をしました。そして大好きだった恋人と引き換えるように転職が決まりました。転職先は業界も職種も変わり、チャレンジの連続でした。フルに脳みそと時間を捧げないとこの仕事は回らないと悟り、しばらく仕事を頑張ろうと決めました。私は恋愛が自分の社会生活に大きな足かせになることを深く自覚し「積極的に恋愛はしないでおこう」と決めたのです。
 とはいえ、恋愛禁止を課したわけではありません。実際、何度かの合コンや、紹介を受けたりもありました。しかしピンとくる出会いはなく、とはいえ1人でも毎日それなりに楽しく忙しかったこともあり、身軽なまま30を過ぎてしまったのです。

 恋愛とは縁遠い数年間でしたが、時間のすべてを自分に捧げることができたので、スキルアップ、キャリアアップもでき、勉強や趣味の活動を楽しむことができました。振り返って、あの数年間を後悔はしていません。でも、何も考えずに30を超えてしまったことは反省しています。
 婚活を始めて20代がいかに結婚を考える女性にとって重要か、最後のフィーバータイムだったのかを猛烈に感じることになるのですから。

 アラサーの婚活女子にとって30歳の大台は必ず来る、恐ろしくて禍々しい存在です。たった1日を踏み越えるだけなのに、今までの自分と決別するような、まるで死刑台のように感じている人も多いでしょう。
 ですが、私は30代になることがとても嬉しかったのを覚えています。20歳でも29歳でも、20代というラベルには謎の輝き、ブランド力が確かにありました。それは日頃男性にチヤホヤされる環境にいなかった私ですら感じるほどでした。
 でも、それが面倒でたまらなかった。純粋に若者として良くしてくれた人はいたものの、悪く言えば無料のホステス、個人じゃなく『20代の女』としか評価されないと感じることもありました。
 若さの価値で得るものは、私には輝いて見えませんでした。だから20代という下駄を脱いで、私はもうどこにでも駆け抜けて行けそうな爽快感でいっぱいだったのです。

 婚活に20代という強烈な武器を引っさげて参戦できなかったのは心残りではありますが、それは「もっといい人と出会えたかも」というよりも、20代という若さに大きな価値がある婚活市場を目にし、その熱量を真ん中で感じてみたかったという、本質的ではない欲求です。
 よく語られる、20代から30代への落差を感じずに済んだことは幸せだったかもしれません。私は30歳の後半から32歳にかけて婚活をしましたが、特別男性からの反響やリアクションが変化したと感じることはありませんでした。20代から婚活をしていたら年齢と婚活について、もっとリアルな現実を体験できたのかもしれません。
 蛇足ですが「相談所に入るなら32歳までに」と複数の人から言われたことがあります。他にも『区切りの年齢』と呼ばれるものがいくつかありますが、婚活をいつ始めるか、何年続けるかで年齢と婚活についての感想も変わってくるかもしれません。

 モテないのは嫌だけど、年齢だけでモテるのは嫌。
 面倒くさいけど、それが多くの女の本音だと思います。婚活に必勝法はありませんが、1歳でも若いうちに始めるほど良いというのは揺らがない真実です。年齢が上がるほど同世代の既婚者は増え、自分を恋愛対象と見る異性の数が減少するのは残酷だけど事実です。
 若いことはそれだけ選択肢が増えるということ。特に女性の場合、出産というイベントも待っています。婚活をはじめてすぐに結婚できる人はほとんどいません。出会いを増やす、その中から恋人を作る、その人とうまくやって結婚する。結婚したい、子供を産みたい場合は「○歳になったら」と区切るのではなく、少しずつでも婚活を考え始めるのがオススメです。

|婚活パーティーは戦場

 ところで、私自身も婚活をしましたが、ご縁あって婚活パーティーの運営のお手伝いをしていた時期もありました。そこで参加者の満足度やニーズを引き出すために、短いインタビューを行っていたのです。
 婚活パーティーに来ている方たちなので、婚活については前向きに捉えている方がほとんどです。職場に出会いがない、合コンもイマイチ、という感想は職業、年代を問わず共通していました。話を聞いていると、みんな「自分は結婚できないのではないか?」という不安を大なり小なり抱えていたことが印象に残っています。
 まだ20代前半の可愛らしい女性もいれば、アラサー以上の綺麗な女性や女医さんなど、私から見ると
「何を心配する必要があるのだろう?」と思う方もたくさんいました。結婚や将来への不安はこれほど深く、みんなの心に刺さっているのだなと感じたものです。

 「いい人がいればいいなぐらいの気持ちで来ました」
 という予防線を張りながらも、ふとした瞬間の顔が怖いほど真剣なのです。これが婚活だとゾワゾワしたのを覚えています。

 比較的年齢の若い女性に話を聞くことが多かったのですが、その中でも23、4歳の、外見にも気を使った可愛らしい女性が多くいました。しかもみんな愛想もよくて明るく丁寧。再び婚活をすることがあっても、決してこの子たちとは戦うまい、と心に誓いました。また婚活パーティーは自分の婚活での評価を突きつけられる機会でもあり、それにも別の息苦しさを覚えました。
 
 これが会社や趣味の集まりなどなら話は別ですが、ここは「婚活パーティー」という名の戦場です。自分より若い子、可愛い子、綺麗な人と比べて自分を卑下する必要も、へこたれる必要もありません。ただ、自分が勝てる戦場を選ぶこと、これは婚活に必要です。手段を誤ると無駄に心身疲弊し、お金も時間も奪われるからです。

「一縷の望みにかけてみる」
「もしかしたらそこに運命の人がいるかも」
 チャンスを惜しむ気持ちはよくわかります。しかし、折れない、傷つかない鋼の心を持っている人でない限り、自分が不得意な場で戦うのは避けるべきでしょう。万一、そこにしか自分の理想の人がいないなら、もう血と涙を流しながら頑張るしかありません。

 正直に言えば、私は婚活がこれほどまでに苦しい場所だとは知りませんでした。いかに自分が均質で、穏やかで、優しい環境にいたかを思い知らされました。
 かつて、「恋愛しなければ心が惑うことはない」と思った自分は正しかったのです。

 婚活はモテても地獄、モテなかったら当然地獄。好きな人ができなくもつらいけれど、好きな人ができたところで、ハッピーエンドはほぼ待っていない、そんな場所でした。そんな婚活の現実をつゆとも知らず、婚活を続けていこうと思ったのは、最初に会った男性に恋をしたからでした。

 婚活アプリとはこういうものか、ということがわかり、アプリをそのまま退会してもよかったのに、私は何人かやり取りをしていたうちの1人と会うことにしたのです。これが私にとって地獄の門をくぐった瞬間で、彼に出会わなければ私の数年はとても穏やかになったと思います。
 その彼とは結局うまく行きませんでしたが「婚活でしか出会えない人がいるのに。その人と結婚するという可能性があるのに。そのチャンスをみすみす逃していいのか?」
という気持ちが芽生えてしまいました。

 そもそも結婚願望の薄かった私は「婚活を頑張ったのに結婚できなかった」という言い訳があったほうがいいかなぐらいの気持ちでいたのです。また、婚活の惨状を知らずとも、年上の女性を見ていて、年齢が上がるに連れ結婚のハードルはぐんぐん上がっていくことは理解していました。
 今の私は結婚に興味はないけれど、5年後、10年後の私は違うかもしれない。その時後悔しても遅いのではないか、と考え始めたのです。
 また、根が楽観できなので、「本気を出せば結婚できないことはないだろう」とタカを括っていました。
 今にして思えば、それがいかに浅はかな見積りだったか…過去の自分を正座させて、説教したいほどのお気楽ぶりですが、それぐらい気軽に始めたのは自分の中でハードルを上げすぎないで良かったかもしれません。

 

KEYWORDS: