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スマホの使いすぎが脳を壊す。ビジネスマンこそ適度な距離をとれ

まずは電車・ベッド・トイレのスマホ使用をやめてみよう

■スマホが特に危ない理由

 まず、危険因子としてブルーライトがあげられます。これ自体はスマホであろうと、PCであろうと、あるいは蛍光灯であろうと出ているものですが、スマホは目にぐっと近づけて見るので、影響が大きい。ブルーライトは、目を疲労させる一方、眠気をなくす作用があります。ハードワーカーのビジネスマンを余計に働かせることにもつながります。

 もうひとつ、危険なのはその情報量の多さ。スマホの小さな画面に、アプリケーションのウィンドウがいくつも開いてマルチタスクになる。前の画面を見たり、次の画面に切り替えたり、そしてまた戻ったり…と脳の中で情報処理がずっと行なわれている。人間の脳はもともとこうしたマルチタスクには適していません。そして残念なことに、原始人の時代から人間の脳はさほど変化していないのです。マルチタスクによって同時並行でやろうとすると、それぞれを切り替えるときにストレスホルモンも増えてくる。これによって前頭葉の機能が低下してしまうと考えられています。

 さらに、スマホの場合、「肌身離さず」という方が多い。これがまたよくありません。スマホは移動中、そして家に帰ってもリビングや、トイレ、お風呂にまで持っていく方もいる。目を覚ましている間ずっとスマホと過ごしている方も多いのではないでしょうか。そうするとSNSの通知なども気になって、四六時中注意を向けて「気持ちが張っている」「スマホに使われている」という、ワーキングモードになって疲労してしまうのです。

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枝川 義邦

えだがわ よしくに

早稲田大学研究戦略センター教授。東京大学大学院を修了して薬学の博士号、早稲田大学ビジネススクールを修了してMBAを取得。早稲田大学スーパーテクノロジーオフィサー(STO)の初代認定を受ける。脳の仕組みや働き、人間の行動などについての執筆や講演なども多い。2015年度早稲田大学ティーチングアワード総長賞、2017年度ユーキャン新語・流行語大賞を受賞。一般向けの著書に『「脳が若い人」と「脳が老ける人」の習慣』(明日香出版社)、『記憶のスイッチ、はいってますか』(技術評論社)、『「覚えられる」が習慣になる!記憶力ドリル』(総合法令出版)など。


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