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「印鑑文化」なんていらなくない? に日本マクドナルド創業者も深く頷いた

20年前にしていた指摘。「勝てば官軍」②

明治以来官庁のシステムをそのままコピーしてきた日本では、トップダウンではなく、下から上へと上がっていく「稟議書システム」をとっているから、書類一つをつくろうとしても幾つもの印鑑を必要とする。日本マクドナルド創業者・藤田田が著作『勝てば官軍』で20年前にしていた指摘。即断即決がビジネスのキモだ。「印鑑文化」なんて滅びていい。

■ハンコも稟議書もゼロにできる

 

 

 アメリカの会社では役付きは会長と社長と副社長しかいない。あとはすべて平社員だ。したがって仕事の決裁もトップダウンで非常に早い。

 ところが、明治以来官庁のシステムをそのままコピーしてきた日本では、トップダウンではなく、下から上へと上がっていく「稟議書システム」をとっているから、書類一つをつくろうとしても幾つもの印鑑を必要とする。

 しかし、わたしはこれまでもそうだったが、コンピュータ時代になったいまは、ますます決裁のスピードをあげるために、印鑑の数を極力減らすことにつとめている。たとえばある部署からの書類が電子メールでまわってくれば、わたしは、あらかじめ定めてある暗号で発信者にイエスかノーかを送る。そうすると、いちいち書類にして印鑑を押して、それを女子社員が持って決裁印をとりにくるといった時間と手間がいっさいはぶけるわけである。

■書類は一週間で捨ててしまえ

 わたしも45年間、社長業をやってきて、雑用が非常にふえてきた。その最たるものがデスクにうず高くたまる書類の山の整理である。書類は、ちょっと油断しているとすぐ30センチぐらいの高さになる。

 

 そこで考えた。絶対に返事や決済の必要な書類はその場で読んで、イエス・ノーの返事を秘書から関係部署にまわす。その他の書類は、あとで読むものと家に持ちかえって読むものにわけ、それぞれデスクの上においた箱にいれる。そして、会社で読むものは会社で読み、家で読むものは家で読んで、一週間すぎると両方の箱とも書類を全部捨ててしまう。それまでに読みきれなかった書類も捨ててしまう。読まないで捨てるなんて乱暴なと思うかもしれないが、実際にはさして不便は感じない。

 むしろ、そうしないと社長の雑務から自由になれない。
 よく、役所などに行くと、机の上に書類をうず高く積み上げている人がいるし、それなりに重要な書類なのだろうが、いつまでも未決済のまま積み上げているだけでは、社長業というものはつとまらないのである。

 ことにわたしのようにたくさんの会社の社長をやっていると、書類の整理に追われてしまうので、できるだけ読むのはもちろんだが、読みきれなくても一週間単位ぐらいで捨てるという決断も必要なのである。

 この決断が可能なのは、わたしが重要なことは諸事「即断即決」することをモットーとしているからなのである。

『勝てば官軍』より〉

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藤田 田

ふじた でん

「日本マクドナルド」創業

1926年大阪生まれ。旧制北野中学、松江高校を経て、1951年東大法学部を卒業。在学中GHQの通訳を務めたことがきっかけで「藤田商店」を設立、学生起業家として輸入業を手がける。1971年、米国マクドナルド社と50:50の出資比率で「日本マクドナルド(株)」を設立。同年7月、銀座三越1階に第1号店をオープン。そこからハンバーガー旋風を巻き起こし日本人の食生活を変えていく。「価格破壊」など革新的な手法を次々と展開した。のちに「日本トイザらス」も設立。2004年没。孫正義氏、柳井正氏ら、日本を代表する企業を率いる経営者たちに影響を与えたとされる。『ユダヤの商法』『勝てば官軍』『Den Fujitaの商法』など数々のベストセラーを残した。長く品切れが続いていたが2019年4月に完全復刊する。


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