次に、通変星（つうへんせい）・蔵干通変星（ぞうかんつうへんせい）を用いて性格を見ていく。政治の持っている星を簡単に円グラフに表すと下記のようになる。

 

 知性…様々な分野の知識が豊富で、何かを学ぶことに喜びを感じる。頭の回転が速く、物事を論理的に捉えることが上手​

行動力…頭で考えるよりも行動で結果を出す。未知の分野に挑戦する意欲が強く、交渉力や営業力を磨けば成功できる

人脈…さりげない気配りができて誰とでも仲良くなれる。サービス精神が旺盛でコミュニケーション能力も高く人を動かせる。

自立心…他人に依存することなく、自分が信じた道を突き進む強い精神性。リーダーシップを発揮しフリーで活躍できる。

遊び心…楽しいことを企画する等、生活に遊びを取り入れることが自然とできる。芸術面の才能があり、表現力が豊富。

　政治の性格を簡単に表すと、人脈50％、自立心50％という結果となった。持っている星の数が多いほどバランスがよく、５つ持っていると「何でも一人でできる人」という意味となるが、政治は２つの星しか持ちあわせていない。しかも、とてもやさしい人脈の星と、厳しく強い自立心の星と、極端な性質を持ちあわせている。なんとアンバランスだろうか。本人も感情のコントロールがうまくできなかったことだろう。壁も多かったろうが、おそらく周りの人に支えられていたのだろう。次から政治の性格をより具体的に見ていく。

〇人脈50％（偏財・正財）​

　「人脈」はさりげない気配りができて誰とでも仲良くなれる星。コミュニケーション能力が高い。お金に恵まれる星でもある。中でも「偏財（へんざい）」は、誰に対しても優しくピンからキリまで幅広い人脈を持ち、お人よしが過ぎるため、騙されやすい面を持つ。「正財（せいざい）」は、手堅い人脈を得ることができ、信頼関係を築ける。

　政治は静岡県浜松市に生まれ、旧制浜松中学校、第一高等学校、東京帝国大学へと進学し、その後朝日新聞に入社した。新聞社では政治担当だったが、政治自身に政治的力量があり、記者でありながら政治家のような一面もあったという。相手の懐に飛び込んで信頼を獲得し、幅広いネットワークを築いた。あの鳩山一郎にも目をかけられた。「日本水上陸上競技連盟」の理事に就任すると、「オリンピック第一主義」を掲げ、1928（昭和3）年のアムステルダムオリンピックを目指すが、この時も人脈をフルに活用。鳩山一郎を通じて大蔵大臣・高橋是清から水泳競技への補助金をもらい、アムステルダムに10選手を派遣したが、この時、男子平泳ぎ200mで鶴田義行が金メダルに輝いた他、日本勢は銀1、銅1を手にしている。

　また、お金にも恵まれた。静岡県浜松市中区の造り酒屋「八百庄商店」に生まれた政治。

　資産家で何不自由なく生活でき、夏や冬の長期休みには別荘で生活するほどのセレブ生活を送っていた。

〇自立心50％（比肩3つ）​

　自立心の星は、自分の信じた道を突き進み、リーダーシップを持っている。「比肩（ひけん）」は、一匹狼で職人気質。頑固で負けず嫌い、マイペースであり、強い自立心を持っている。「比肩」を3つも持っていた政治はこの性質が相当強まっていたのだろう。相当な頑固で負けず嫌いだったことが予想される。

　政治は熱血漢で諸突猛進型、強引すぎるといわれるほどのやり手の新聞記者だった。塩田（2019）によると、鳩山一郎の側近は政治について、「強気の人。血の気が多く、カッとなることも珍しくなかった。政治の世界ではいろいろな人と葛藤があった」と話していたという。

　大河ドラマで政治を演じる阿部サダヲは、その役について「ものすごい勢いでしゃべります。おかげでセリフが長くて大変ですね（笑）。（中略）おまけに田畑はただしゃべっているだけでなく、すぐに人にかみつくので、周囲も止めるのが大変だったのではないでしょうか」と話しているが、やはりそんなマイペースな性格だったのだろう。政治とうまく付き合うのはなかなかに苦労しそうだ。