NHK大河ドラマ『いだてん』金栗四三の波瀾万丈すぎる人生とその素養 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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NHK大河ドラマ『いだてん』金栗四三の波瀾万丈すぎる人生とその素養

歴史上の人物を四柱推命で鑑定! 第55回 ~金栗四三~

 次に、通変星(つうへんせい)・蔵干通変星(ぞうかんつうへんせい)を用いて性格を見ていく。四三の持っている星を簡単に円グラフに表すと下記のようになる。

 

 知性…様々な分野の知識が豊富で、何かを学ぶことに喜びを感じる。頭の回転が速く、物事を論理的に捉えることが上手

行動力…頭で考えるよりも行動で結果を出す。未知の分野に挑戦する意欲が強く、交渉力や営業力を磨けば成功できる

人脈…さりげない気配りができて誰とでも仲良くなれる。サービス精神が旺盛でコミュニケーション能力も高く人を動かせる。

自立心…他人に依存することなく、自分が信じた道を突き進む強い精神性。リーダーシップを発揮しフリーで活躍できる。

遊び心…楽しいことを企画する等、生活に遊びを取り入れることが自然とできる。芸術面の才能があり、表現力が豊富。

〇知性50%(偏印2つ)

 知性は、様々な分野の知識が豊富で、頭の回転が速い星。特に、「偏印」はアイディアやひらめきが豊富で、学校で習う以外の分野、例えば企画、IT、占い等で才能を発揮する。この星を2つ持っている四三は、この性質が高まっていたと考えられ、その場その場に応じて物事を論理的にとらえ、様々なひらめきを生み出していただろう。

 初めて参加したストックホルムオリンピックの予選大会の前、四三は「汗抜き」とうトレーニング方法を伝授される。当時当たり前に行われていたもので、体内の水分を排出することで体を軽くするというものだった。四三も実践するものの、喉が渇きお腹が空き、耐えらずに砂糖水を何杯も飲むと体が軽くなったという。それ以来、四三は「汗抜き」はせずレース前に水も食事も摂取するようになった。

 今となっては、運動中に水分をとるのは当たり前だが、当時にしたら画期的な方法だった。四三のひらめきが功を奏したのだろう。

〇人脈30%(偏財)
「人脈」はさりげない気配りができて誰とでも仲良くなれる星。中でも「偏財(へんざい)」は、誰に対しても優しくピンからキリまで幅広い人脈を持ち、お人よしが過ぎるため、騙されやすい面を持つ。

 兄の資金援助を得て、やっとの思いでストックホルムオリンピックの出場にこぎつけた四三。当時、飛行機はほとんどなかったため、東京から船と鉄道を乗り継ぎ、17日間をかけてストックホルムにたどり着いた。しかし、長旅の疲れからか、一緒に行った大森監督の肺結核が悪化し、四三はその看病にあたったため、練習はもちろん、ほとんど寝ることもできなかったという。1912年7月14日マラソン競技当日。快調にスタートを切ったものの、26kmを過ぎたところで、突然脱力。目がくらみ、経験したことのないような苦痛に襲われた。いわゆる熱中症だ。意識がもうろうとした金栗は、ペトレという農家の庭に迷い込む。驚いたペトレ家の人々は、ラズベリーのレモネードや食べ物を与え、金栗を親切に介抱したという。もうろうとしながらも四三は「私は東京の大学生です」と英語で名乗り続けた。

 そんな事情を知らない人々にとって、四三は「消えた日本人の謎」と化した。そして、亡霊になった、二人の美女に導かれて消えた…等様々な都市伝説が生まれたという。

 その55年後の1967年、再びストックホルムに降り立った。1912年のオリンピックにおいて、四三は記録上未だゴールしていないことになっているということで、当時のスタジアムで行われた記念行事に招待された。四三がゴールテープを切った瞬間、こんなアナウンスが流れた。「ストックホルム五輪全日程が、これにて終了しました。タイムは54年と8ヶ月6日5時間32分20秒」。その後、四三は挨拶で「この間に妻をめとり、子が6人と孫10人ができました」と話し、スタジアムを沸かせたという。

 なお、この記念行事にはぺトレ家の人々も訪れていた。四三は介抱をしたもらった後、ペトレ家の人々と文通を続け、半世紀ぶりに再会を果たした。

 熱中症について知識がなかった当時、マラソンは危険なスポーツ。1912年のストックホルム大会では、棄権者が続出し死者も出たという。そんな中、力を振り絞ってさまよいペトレ家にたどり着き、丁寧に介抱してもらっただけでなく、55年後に大会スタッフの粋な計らいにより念願のゴールテープを切ることができる。遂には大河ドラマの主役にまで取り上げられる。これぞ、四三の気配り上手な優しい性格と人脈の賜物だろう。

〇遊び心10%(傷官)
 遊び心の星の中でも「傷官(しょうかん)」を持っている人は、芸術性が高く、頭がよく交渉能力が高い。男性で持っているとナイーブな面がある。また、起伏の激しい星でもある。

 四三は知性の星を50%持っていることに加え、この「傷官」を持っており、相当頭がよかったのだろう。熊本県玉名郡春富村に生まれた四三は、小学校、高等小学校に進み、さらに熊本県立熊本中学校玉名分校(後の玉名中学、現玉名高校)に進学した。成績は非常に優秀で、春富村からの進学は初めてだったという。その後東京高等師範学校に進学するが、金栗家は8人兄弟で決して裕福な家庭ではなかった。そんな中、両親・兄弟にその選択をさせるほど、四三は聡明だったのだろう。

〇行動力10%(正官)
「行動力」は頭で考えるよりも行動で結果を出す星。中でも、「正官」はプライドが高く真面目で仕事人間のイメージだ。

 真面目で責任感の強い四三は、懸命にマラソンと向き合い、努力を重ねたのだろう。金栗が生涯に走った距離は約25万キロ、地球6周と4分の1といわれる。また、金栗の残した有名な言葉として「体力、氣力、努力」がよく知られる。

次のページ続いて十二運星を見ていく

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妃萃(本名:油川さゆり)

ひすい

青森県八戸市出身。慶應義塾大学 社会学研究科 教育学専攻 修士課程修了、同研究科 同専攻 後期博士課程在学中。2013年鳥海流・鳥海伯萃より四柱推命の指南を受ける。これまで500人以上を鑑定。多数の弟子を輩出。

元放送局報道記者。フリーアナウンサーとして、BS11の番組にレギュラー出演しているほか、ナレーターや司会として活動中。日本の歴史、伝統芸能を伝えるため、歴史勉強会、その他イベントを主宰。自身も大和言葉、辞世の句、武田氏と油川氏等について講演活動を行う。合同会社真己、共同代表。また、2016年6月から「カミムスヒ」というソングユニットで歌手活動を開始。手話検定3級、ホームヘルパー、視覚障害者ガイドヘルパーの資格を持ち、社会福祉活動に積極的に携わる。


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