■対処療法では不十分だ

 ちなみに安倍総理、現在は3200人の児童福祉司について、2022年度までに5000人とする意向を表明しました。

 しかしこれも、以下の理由で十分ではありません。

 3200人が5000人になったところで、増加率は4年で60%。

 ひきかえ厚労省の調査によると、児童虐待の件数は5年で100%増!

 児童福祉司一人あたりの負担が軽減されることはなく、子どもにたいするきめ細かいフォローは不可能です。

 さらに頭数をそろえればよいわけではない。

 児童福祉司は地方公務員なので、別部署への異動も多いし、ストレスに耐えかねて退職する人もいる。

 10年以上の勤務経験があるベテラン福祉司は、全体の16%しかいないのです。

 経験の浅い福祉司を一気に増やしたら、現場はかえって混乱する恐れすらあるでしょう。(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190209-00000039-jij-soci

 だいたい児童虐待の最善の解決法は、虐待が起きないようにすること。

 福祉司を増やすというのは、虐待の発生は防げないことを前提にしており、後手に回った発想にすぎないのです。

 他方、国連の「子どもの権利委員会」も2月7日、政府にたいして児童虐待への対応強化を勧告しました。

 同委員会のサンドバルグ委員は、さる1月、千葉県野田市の小学生・栗原心愛(みあ)さんが虐待で亡くなった事件について「起きてはならない残念な事件だった。誰か大人が反応すべきだった」と述べたとのこと。

 ただしこの勧告も、虐待の実態調査や、子どもが被害を訴えやすいシステムの構築、加害者への厳格な刑事責任追及など、対処療法的な提言にとどまっています。(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41047210X00C19A2CC1000/

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