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「学びが面白い!」で旧態依然とした授業を変えていく。福山市教育長の挑戦

抜き打ち学校訪問、掲げたスローガン。

■「学びが面白い!」というスローガン

 三好教育長は、何をやろうとしているのか。それを訊ねると、彼は福山市教育委員会が2018年4月から掲げているスローガンを示した。

 それは、「学びが面白い!」。

 

「2017年度に、『自ら考え学ぶ授業をつくろう』というテーマを掲げました。そして2つの小学校の1年生を『個』として追いかけてきました。その結果、分かったのは、1年生の終わりから教科書が読めていない、ということでした」

「学びが面白い!」を掲げたきっかけを、三好教育長が説明した。さらに続ける。「足し算も引き算もできるし、ひらがなも読めている。しかし、3行くらいの文章になると、意味がとらえることができない。意味まで分かる子は、全体の3割くらいしかいない、ということがはっきりしました」

 実は、それでもテストで点数はとれてしまうのだ。点数はとれてしまうが、ほんとうに分かっているわけではない。授業では、点数のとり方を教えているにすぎない。点数はとれても、分かっていないのだから、子どもたちが面白いわけがないのだ。三好教育長は続けた。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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