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打ち合わせの相手がタバコの煙を嫌がっている…こんなときどうする?

必要なのは共感する力だ

■「不慮の事故」を共感力で乗り切る

 相手の不快さを察知した時点で、「ちょっとこの席、タバコの煙がキツいですよね」「隣の席、騒がしくありませんか?」「うるさいですよね」という会話のキャッチボールをすることも重要なポイントです。なぜなら、不快さという感覚を〝共有〟することで、〝被害者〟という同じ立場に立つことができるからです。

 その上で、その場所を選定した〝よい理由〟についても言及してみましょう。

「静かだと思ってこの店を選んだんですが、まさかこんなにタバコ臭いとは。僕もタバコは苦手なんですよ。申し訳ありません!」
「全席禁煙だったので、安心してこの店を選んだんです。まさかこんなに騒がしいとは……。すみません」

 このようなやり取りをすることで、まずはよかれと思っていたことが見当違いであったこと、つまり「不慮の事故」であることが相手に伝わります。加えて、謝罪をすることで、こちらの責任であるということも明確になります。

 ここさえ押さえておけば、先方も不快さを〝共有〟している仲間ですから、店に対して腹立たしく思うことはあれど、あなたに対して怒りを感じることはありません。

 それどころか、感覚の〝共有〟ができたことによって団結し、「タバコなんて時代遅れもいいところだよなぁ」「本当にそうですよね」という、コミュニケーションにつながる可能性もあります。これこそ、共感力のなせる技です。

 
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齋藤 孝

さいとう たかし

明治大学文学部教授。



1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。



250万部を超えるヒットとなった『声に出して読みたい日本語』シリーズ(草思社)のほか、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『大人の精神力』、『10歳までに身につけたい「座る力」』(いずれも小社刊)など著書多数。


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