■頼りになる学問の神仏を知る

 受験生の神頼みといえば天神さま(菅原道真公)が思い浮かぶが、学問にご利益があるのは天神さまだけではない。霊験あらたかとして信仰を集めている寺社をご紹介したい。
 

|日本初の学問の人神さま

古来、聖地とされてきた宇治川右岸に鎮座する宇治神社

 菅原道真公より先に学問の神として崇められたのが、第15代応神天皇の皇子・菟道稚郎命(うじのわきいらつこのみこと)である。
 菟道稚郎命は百済より来日した学者・王仁(わに)を師として学びあらゆる典籍に通じたとされる賢者。応神天皇から皇位継承者として選ばれていたが、兄宮(のちの仁徳天皇)に位を譲るために自ら命を絶ったという清廉な人物でもある。
 菟道稚郎命が活躍されたのは3世紀末から4世紀初めにかけてなので、日本初の学問の人神さま(神として祀られるようになった人のこと)といえるだろう。
 この菟道稚郎命をお祀りしているのが、京都府宇治市の宇治神社だ。鎮座地の宇治川の右岸(平等院の対岸)は古くから聖地とされてきた場所で、宇治神社はその中心的な存在となっている。
 なお、宇治神社の試験合格祈願は申し込みを郵送でも受け付けている。
 

|閻魔大王の代わりを務めた学者

上野にほど近い入谷に鎮座する小野照崎神社

 小野篁(おののたかむら)と聞いてぴんとこられた方は、かなりの伝奇小説好きだろう。小野篁は平安初期の公家で学者であるが、夜は冥界に行って閻魔大王に代わって亡者を裁いていたとか、知り合いの貴族を百鬼夜行(妖怪の群れの行列)に遭遇させたといった奇妙なエピソードがいくつもあり、古くから伝奇物語の登場人物とされてきた。
 そのようなエピソードが生まれたのも、小野篁が学者として並外れてすぐれていたからで、ここから 小野篁を祀る神社は学業成就・受験合格のご利益があるとされてきた。
 東京都台東区の小野照崎神社もその1社であるが、江戸後期には菅原道真公も合祀され、まさに学問の神の聖地となっている。当社のご利益で無名の役者が国民的映画の主役に抜擢されたともいわれ、その霊験は学問に限らず文芸や芸能にも及ぶとされている。
 

|「落ちない」ご利益を授かる

落ちずに合格する御利益があると受験生に信仰されている上野大仏

 いっぽう、おそらく日本一ユニークな受験生の守り神といえるのが上野大仏だ。
 上野大仏は最初の像が寛永8年(1631)に漆喰で造られたが、地震で倒壊。その後、万治年間(1658~61)に木食浄雲が青銅で再建した。
 ところが、関東大震災(1923年)で首が落ち、その後、胴体は金属供出(戦争遂行のため国民に金属の供出を求めた国の政策)によって徴用され、顔だけが残されることになってしまった。現在は大仏殿の跡地に顔のみがコンクリートで固められて安置されている。
 いつの頃からか、この姿から「これ以上落ちない=合格する」ご利益があると受験生に信仰されるようになった。今では各種合格守りも授与している。
 

|天界の賢神が「晴れ」を呼ぶ

 人神ではなく、日本古来の知恵(学問)の神さまといえば、八意思兼命(やごころおもいかねのみこと、思兼命とも)である。
 八意思兼命は天照大神の天の岩屋隠れなど、神々の世界で事件・大問題が起こった時に、知恵を絞って対策をたてた天界の賢神で、知恵や知識を象徴する神さまである。
 この八意思兼命を祀るのが、高円寺氷川神社(杉並区)の境内に鎮座する気象神社だ。

神の知恵を象徴する八意思兼命を祀る高円寺氷川神社の気象神社

 八意思兼命は気象現象もコントロールされることから気象(天気予報)の神さまとして祀られているのだが、もちろん学問・知恵の神さまとしても霊験あらたかだ。
 オリジナルの晴守りやてるてる守りは、「晴れて合格」のご利益をもたらしてくれるはずだ。

 合格祈願は学問の神さまが専門というわけではない。
 たとえば、足利織姫神社(栃木県足利市)などもご利益が期待できる。社名からもわかるように足利織姫神社は織物の神さまを祀る神社であるが、縁結びのご神徳で有名になっている。しかも、結んでくれるご縁は、恋人や結婚相手だけではない。志望校・希望進路との縁もとりもってくれるのだ。

志望校との縁を結んでくれる足利織姫神社

 人間同様、学問や仕事も縁がなければうまくいかないものだ。そこで縁結びの神さまにお願いをして、志望校・志望職種との良縁をもたらしていただくのである。

 

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