SHOWROOM社長である前田裕二氏は、大のメモ魔として知られる。メソッドは新刊『メモの魔力』にも詳しいが、その量がすさまじい。スマホの場合「一日の終わりには、何スクロールしてもなかなか最後にたどり着けないくらいの量になりる」(EL BORDE記事より)という。幻冬舎社長・見城徹氏をして「メモは前田裕二の生き方そのものなのだ。前田裕二はいつどこででも、芝居を一緒に観ている時でもずっとメモを取り続けている」(ツイッターより)と言わしめる。ひるがえって、日本マクドナルドを創業した伝説の起業家、藤田田氏。彼もまた「24時間メモをとれ」という圧倒的メモ魔であった。ビジネスのヒントはひとつのメモから生まれる。藤田氏の代表作『勝てば官軍』より紹介しよう。

■24時間メモをとれ

 

 ベッドルーム、風呂場、トイレット、食卓、リビングルーム――と、わたしの家には、いたるところにメモ用紙と鉛筆がおいてある。メモ用紙といっても、新聞に入っている広告とか不要になったカレンダーを、手があいているときに小さく切ってメモ用紙にするのである。わたしが、テレビを見ていても、食事中でも、本を読みながらでも、寝ているときでも、いつでもどこでも思い出したり思いついたりしたことをすぐにメモするからである。メモをとるのは、わが家にいるときだけではない。人と話をしているときでも、これはいい話だな、ヒントになるなと思えばメモをとる。

 そのメモを、わたしは毎日見る。1週間ごとにまとめて整理して見直して、この話はこうなったな、この話はどうなっているのかと点検する。人の名前など、覚えるまでメモをもっている。二年前に亡くなった母の戒名をどうしても覚えられないので、そのメモはいまだにもっているといったぐあいに、だ。

 たった一枚のメモにわたしの全生活が入っているといってもいい。

 

 だから、わたしは手帳は持っていないが、メモ用紙はかならず持っている。しかも、わたしがメモをとるのはメモ用紙にというだけではない。誰かと食事をしているときに、ああ、これはメモしておこうということがあれば、たとえば割り箸の袋にメモをする。マッチの箱にもメモをする。

 とかく日本人には、重要なことを聞き流し、うろおぼえのままですませてしまう悪癖がある。ときにはわざと曖昧さをおとぼけに利用することすらある。だが、ビジネスに曖昧さは禁物なのだ。

 話の要点は、きちっと記録しておくことが必要なのである。それは手帳でなく一枚のメモ用紙でもいいのである。

 アメリカ人もよく「おまえはメモ魔だなあ。メモばかりとっているじゃないか」と呆れるが、わたしにとってメモをとるのは子どものころからの習慣なのだ。わたしは、子どものころから記憶のいいほうであまり物忘れはしなかったのだが、いま考えてみるとそれは、わたしにそういう習慣があったからだ。

 いまでも、人は「藤田さんは記憶力がいい、よくおぼえている」というけれども、それは「おぼえている」からではなくて「物忘れ防止法」を知っているからなのである。